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2002年10月9日(水)19:00
かなり久しぶりに演奏会に行きました。ベートーヴェンの作品の中でも、演奏される機会の少ない「ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲」が聴けるというのと、あのアンナー・ビルスマが来るという事から、かなり楽しみにしていた演奏会でした。 アンナー・ビルスマは、古楽好きの人には説明するまでもないほど有名なバロック・チェロの名手であり、オリジナル楽器演奏の先駆者のひとりでもあります。彼が1979年と1992年に録音したバッハの『無伴奏チェロ組曲』は、どちらもこの作品の金字塔的な存在として、国際的な評価を得ています。今回ヴァイオリンを担当したヴェラ・ベスは、ビルスマの奥様で、バロックとモダン・ヴァイオリンの両方を演奏し、広いレパートリーを誇っています。 フォルテピアノの渡邊順生は、チェンバロをグスタフ・レオンハルトに師事し、1980年に帰国以来、日本の古楽演奏の啓蒙と普及に努め、精力的に活動をしている演奏家のひとりです。毎年Kitaraで行われている「札幌古楽の夏音楽祭」でも講師として活躍されていいますし、ザ・バロックバンドも、宇田川貞夫と渡邊順生によって1984年に組織された古楽器オーケストラです。 今回の演奏会は、仕事が押してしまって、かなりギリギリの時間にKitaraに飛び込んだのですが、客の入りの方は6〜7割ぐらいでした。やはり、一般のクラシック・ファンは、古楽系の演奏会にはあまり関心を持たないのかもしれません。古楽系大好き人間としては、かなり寂しい気がしました。演奏自体は本当に素晴らしかったので、なおさらそう感じたのだと思います。 ザ・バロックバンドは、最初の『コラリオン』では音が硬くて前に出てこない感じがありましたが、2曲目の『ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲』からは、かなり良い感じで聴けました。ただ、2曲目は何と言っても、ソリスト3人の演奏が素晴らしかったです。 ビルスマのチェロとヴェラ・ベスのヴァイオリンのハーモニーの美しさはもちろんですが、演奏によっては伴奏になりかねないピアノを、しっかりソロ群のひとつの楽器として表に出し、なおかつ、チェロとヴィオリンの音をしっかりと下から支えるような渡邊氏のフォルテピアノが、とても印象的でした。 それにしても、オーケストラとソロ群のバランスが取りにくいためか、めったに演奏されない『ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲』が、オーケストラも含め「オール古楽器」で演奏されると、実は、けっこう美しいし、楽器の音量などもバランスも取れていると言うことがわかりました。古典派音楽の古楽器による演奏が、もっと一般的に聴かれるようになると、色々な曲に対する認識も、変わってくるのかもしれませんね 最後の『交響曲第3番 英雄』も、小編成ながらしっかりと『英雄』の悲壮さや勇壮さが表現されていて、とても面白かったです。大編成のモダン楽器で、ドッと押し寄せてくるような演奏もいいですが、古楽器の演奏はシンプルな美しさがあって好きです。スケッチのシャープさとか、エッチングの緻密さに通じるものがありますね。 (2002.10.18)
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