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2000年8月7日(火)19:00
2001年の札幌古楽の夏音楽祭のコンサート第1夜は、イエスが受難の死を遂げた聖週間の、最後の3日間の朝課で歌われるルソン・ド・テネブレ(エレミヤの哀歌)でした。クープランのルソン・ド・テネブレは録音も種類が多くてよく聴きますが、ドラランドのものは全くと言って良いほど聴く機会がないので(録音も、ASTREE の物しか知りませんし)、いったいどんな演奏をしてくれるのかと楽しみにしていきました。 ソプラノの小林木綿(こばやしゆう)さんは、武蔵野音楽大学声楽家卒業で、1994年に第8回古楽コンクール審査員奨励賞を受賞し、1996年には第3回ブリュージュ国際コンクールで第2位を受賞し(声楽家としては歴代最高位とのこと)、コンクールの審査員であったヴィーラント・クイケン氏より高い評価を受けたそうです。現在は、リサイタルの他に、カンタータ、宗教曲のソリストなどに迎えられなど、幅広く活躍中だとパンフレットに書いてありました。 小林さんは、1998年の古楽祭にも来ていたようなのですが、私は今回初めて聴きました。彼女については全く予備知識がなかったので、期待半分で聴きに行ったのですが、期待以上というか、本当に素晴らしいとしか言いようのない演奏を聴かせてもらいました。ノン・ビブラートの透明で伸びのある声質の素晴らしさに加えて、宗教曲にふさわしい高貴な雰囲気が感じられる歌唱で、本当に行って良かったと思いました。 フランス・バロック音楽、おまけに宗教曲という地味(知名度の低い)プログラムだったせいか、会場は7割程度しか埋まっていなかったことが、本当に惜しいと思いました。夏の古楽祭自体、PMFと比較すると札幌市民のなかでの認知度がかなり低いので、ある程度は仕方がない事だと思いますが、今回のようなプログラムでも聴きに来る人を多くすることは出来ないだろうかと思うほど、たくさんの人に聴いて欲しいと思える演奏会でした。 歌手だけでなく、通奏低音も素晴らしかったです。古楽祭の音楽監督でもある宇田川先生の、しっかりと穏やかなバス・ド・ヴィオル、永田平八氏の明るさと軽快感に満ちたテオルボ、芝崎久美子さんの全体を包み込むような、しなやかさと優しさを感じさせるクラヴサンとポシティーフ・オルガンが、きっちりと小林さんの歌を支えていました。器楽のソロ演奏では、特に芝崎さんのクラヴサンのソロが特に印象的で、会場の空気の溶け込むようなクラヴサンの響きは、いつまでも聴いていたいような雰囲気で、1曲だけで終わってしまうのが本当に惜しいと感じさせられました。 ところで、今回の演奏会については、私はプログラムに少しばかり不満があります。演奏会形式なので仕方がないのだとは思ったのですが、最初に演奏されるのが最終日(聖金曜日)の最終(第3)ルソンだったという事に、かなり釈然としない気分を味わいました。確かに、純粋に歌曲として聴いた場合、ドラランドのルソン・ド・テネブレは短いながらも適度に花がある音楽で、最初に持ってくるにはふさわし曲なのでが、そもそも、宗教曲をぶつ切りで演奏する事自体に、私としては納得しがたいものがあったりします。 これは、クープランのルソン・ド・テネブレにも言えることで、今回は歌手がひとりしかいないので二声による第3ルソンが演奏できない以上、第2、第1の逆順で演奏さる方が演奏効果が高いのはよくわかるのですが、気分的に今ひとつ乗り切れないものが残ったのも確かです。もし出来るなら、同じメンバーによる、歌手2人(もうひとりは誰にしましょう?)による、クープランのルソン・ド・テネブレの完全演奏を聴いてみたいものです。その時には、蝋燭に火を点けろとは言いませんから、ステージ上に燭台を置いて欲しいです。 (2001.9.29)
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