札幌古楽の夏音楽祭2000より
ヴァイオリンとチェンバロのデュオ
 〜Johann Sebastian Bach ヴァイオリン・ソナタ集〜

2000年7月25日(金)19:00
札幌コンサートホール《Kitara》小ホール

    ヴァイオリン:ルーシー・ファン・ダール
    チェンバロ:渡邊順生


 

 J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ハ短調 BWV1017
 Johann Sebastian Bach:Sonate fur Volone und Cembalp c-moll BWV1017

 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
 Johann Sebastian Bach:Partita fur Violine solo d-moll BWV1004


  ―――――休憩20分―――――


 J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ロ短調 BWV1014
 Johann Sebastian Bach:Sonate fur Volone und Cembalp h-moll BWV1014

 J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ホ長調 BWV1016
 Johann Sebastian Bach:Sonate fur Volone und Cembalp E-dur BWV1016



札幌古楽の夏音楽祭は、1998年から始まったセミナー形式のアマ・プロを問わずに参加できる音楽祭です。3回目の今年は、8月23日(水)〜8月27(日)の5日間で行われました。この音楽祭はPMFのように派手な物ではありませんから、まだまだ一部の古楽ファンにしか認識されてはいませんが、古楽祭に付随して行われる古楽系のコンサートは、札幌の夏の風物となりつつあるように思えます。

今年は、フランス・ブリュッヘンの主催する「18世紀オーケストラ」で長くコンサート・ミストレスを務めたルーシー・ファン・ダールが参加し、特別クラスとして「オーケストラスタディ」を受け持っていました。そのルーシー・ファン・ダールのバッハのみのプログラムと言うことで、今回のコンサートは早い時期から楽しみにしていたものでした。

23日(水)にはオープニング・コンサートとしてにバッハのコンチェルト集の演奏会(ルーシー・ファン・ダールも参加)もあったのですが、そちらは仕事の都合で行けず、今回は25日のバイオリン・ソナタ集の方だけを聴きに行ったわけですが、古楽系のコンサートとしては初めてと言うくらい、聴いた後で落ち込んでしまいました。少なくとも私には、ルーシー・ファン・ダールが意図するバッハ像を、その音楽から思い浮かべることが出来なかったからです。

もともと、ルーシー・ファン・ダールのヴァイオリンというのは、古楽系の演奏としてはどちらかというとヴィブラートを多用したモダン系の演奏に近い演奏で、私の好みとは少し違うのですが、CDなどで聴く限りは、それなりに聴ける演奏だと思っていました。ところが、今回実際の演奏を聴いてみて、最初の1曲目が終わったところで、本気で帰ろうかと思ってしまった次第です。どこがどうとは具体的に言えないのですが、とにかく、綺麗な音がしているのはわかるのだけれど、それが『音楽』として落ちてこない。最初から最後まで音が表面をかすって行った、という印象しか持てませんでした。

私も前日は徹夜に近い状態で、必ずしも音楽を聴ける状態では無かったのかもしれません。それでも、普段ならどんなに状態が悪かろうと、演奏会後はなにがしかの感動を得て帰宅するものが、今回に限っては、どうにも心に音が入って来てくれなくて、どうしようかと思いました。中でも特に辛かったのが2曲目のパルティータで、いつまでたっても曲が終わらないように思えるほど、曲が間延びして長く感じられました。

それでも、渡辺順生のチェンバロによる伴奏は地味ながら歯切れが良くて、とても印象的なものでしたから、ヴァイオリン・ソナタ3曲はなんとか聴くことができました。チェンバロの音からは、「バッハ」が感じられたからです。

そんなわけで、今回のコンサートの印象がこれほど悪かったのは、私の感性とルーシー・ファン・ダールの感性が全く合わなかった、としか言いようがないのだろうと思います。正直なところ、この人は本気で弾いているんだろうか、流して弾いているのではと怪しんでしまったほどですから。

それにしても、古楽系の演奏会でこういう体験をしたのは本当に初めだったので(モダン楽器の演奏会では時々ありますが)、今回はとてつもなく落ち込みました。せめて、プログラムがバッハで無ければもう少し聴けたのかもしれません。ヴィヴァルディとかタルティーニだと、もう少し印象が違ったように思います。


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