アムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテット
フーガの歴史−その発祥から開花を辿る

2000年7月4日(火)19:00
札幌コンサートホール《Kitara》小ホール

    アムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテット
    Amusterdam Loeki Staedust Quartet
     
      ダニエル・ブリュッヘン Daniel Bruggen
      ベルト・ドリヴァー Bertho Driever
      パウル・レーンフーツ Paul Leenfouts
      カレル・ファン・ステンホーフェン Karel van Steenhoven
 
 
作者不詳(14世紀スペイン)
Anonymous (14th century-Spain)
    おお、輝きの聖母よ
Caca 'O virgo splendens'
 
ヤコブ・オプレヒト
Jacob Obrccht
1450-1505
フーガ
Fuga
 
パレストリーナ
Giovanni Pierluigi da Palestrina
1525-1594
第2旋法のリチェルカーレ
Ricercsr del secondo tuono
 
フレスコバルディ
Girolamo Frcscobaldi
1583-1643
バッサ・フィアメンガによるカプリッチョ
Capriccio V sopra La Bassa Fiamenga
 
スウェーリンク
Jan Pieterszoon Sweelinck
1562-1621
わが青春は過ぎ去りぬ
variations on:Mein junges Lebn hatein End
 
パッヘルベル
Johann Pachelbel
1653-1706
カノン
Canon
 
ヴィヴァルディ/J.S.バッハ
Antonio Vivaldi/J.S.Bach
1680-1741/1685-1750 (arr.D.Bruggen)
協奏曲二短調op.3−11/BWV596
Concerto in d-minor Op.3 ro.11/BWV 596
Allegro-adagio-Fugue-Lsrgo-Allegro
 
―――(休憩 15分)―――
 
J.S.バッハ
Johann Sebastian Bach
1685-1750
幻想曲とフーガBWV537
Fantasie & Fugue BWV 537
 
クーマンス
Dick Koomans
1957-
ジョギングする人
The Jogger(1994)
 
J.S.バッハ
Johann Sebastian Bach
1685-1750
「フーガの技法」BWV1080より
コントラプンクトゥス第7「拡大と縮小による」(4声)
コントラプンクトゥス第9「12度の」(4声)
From:'The Art of Fugue'BWV 1080
contrapunctus 7 a 4 per augmert et diminut
contrapunctus 9 a 4 per 'alla Duodecima'
 
J.S.バッハ
Johann Sebastian Bach
1685-1750
フーガ・アラ・フレーヴェ・エ・スタッカート
(前奏曲とフーガ ト短調BWV550より)

Fuga alla breve e staccato from Prelude & Fuga BWV 550



アムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテットの演奏を聴きに行きました。最初のレコード(彼らのデビュー当時は、まだLPレコードの時代でした)から注目していた、驚異的技巧を誇るリコーダー・アンサンブルなのですが、実演に接する機会に恵まれず、今回、kitaraでオランダ年記念行事の一環として行われたコンサートで来道すると知って、本当に嬉しかったです。

アムステルダム・ルッキ・スターダスト・カルテットは、1978年にオランダで学院に在学中だった、D.ブリュッヘン、B.ドリヴァー、P.レーンフーツ、K.ファン・ステンホーフェンの4人によって結成されてリコーダー4重奏団です。1981年のブルージュ国際古楽コンクールで、スティービー・ワンダーの曲をリコーダー・アンサンブルで演奏して優勝し、国際的な評価を獲得しました。CDも、1986年のデビュー盤である『リコーダーの神技』以来、オワゾリール、デッカ、チェンネルクラシックスなどからリリースされています。

今回のプログラムは、フーガの発祥から開花をたどるというもので、昨年来日したときのもの(私はNHKの衛星放送で見ました)と同じでしたが、若干曲目に変更がありました。昨年の放送では四角い箱形のリコーダー(?)が現代曲で使われていて、それがとても印象に残っていたのですが、今回の現代曲クースマンの『ジョギングする人』は普通のリコーダーが使われていて、ちょっと残念な気もしました。

ある程度テレビで予習していたとはいえ、様々な音域の様々な大きさや形、色のリコーダを何本も駆使して、それらを曲ごとにメンバーが取り替えつつ、音域の固定化もほとんどなく、高音から低音まで場所を移動しならが演奏する様子というのは、本当にエキサイティングな見物でした。とにかく凄い、というのが全般的な印象でした。

1曲目と2曲目は続けて演奏されましたが、大バスを主として低音のリコーダーだけで演奏されたひなびた旋律は、耳に心地よく響きました。前半は比較的低めの音域の曲が多くて、響きの厚さが際立っていたように思います。パッヘルベルの『カノン』もヴィヴァルディの協奏曲も、音色の違いからなにか別の曲のように聴こえる時もありましたが、最初からリコーダ・アンサンブル用の曲だったようにしっくりとしていました。

後半で一番拍手が大きかったのは、ディック・クースマンの『ジョギングをする人々』だったと思います。ジャズのテイストを効かせた中の、ジョギングする人の呼吸音を模したような、吹き込みによるリコーダーの音がコミカルで印象的な曲でした。彼らのために書かれた現代曲ばかりというプログラムも、CDだけではなく、実演でも聴いてみたいと思いました。

後半のプログラムの大部分はバッハでしたが、どれも楽しい編曲になっていました。技巧的にはずいぶん難しいと思うのですが、そんなことは全然感じさせない自然な演奏で、本当に素晴らしかったと思います。聴いていると自然とリズムを取ってしまうほどにリズミカルなバッハでした。

とにかく、ほとんど同じ力量の4人のアンサンブルというのは、圧倒的な迫力がありました。おまけに4人とも驚異的な肺活量で、ロングトーンでも音が下がらないのがすごかったです。服装だけでなく演奏でも4人の個性が十分に主張され、それが互いの音を支え合っている、まさにアンサンブルのお手本のように感じられました。

アンコールは3曲で、高階哲夫作曲『時計台の鐘』、パウル・レーンフーツ編曲『「エリーゼのために」のタンゴ』、『シャドー・オブ・ユア・スマイル(確か原曲はボサノバだったと思うのですが……ポップスだったでしょうか?)』が演奏されました。こういう曲でも、アンサンブルの素晴らしさはまったく変わりませんでした。
くしくも、この日はkitaraの3回目の誕生日でした。こういう日に素晴らしい音楽を堪能できて、本当によかったと思います。


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