クラウディオ・ブリツィ&トーマス・インデアミューレ
2人の世界的名手が描くバロックの熱い世界 2000小樽−オーボエとチェンバロの世界

2000年4月22日(土)14:00
小樽市民センター・マリンホール(アプローズ453主催)

    クラウディオ・ブリツィ Claudio Brizi [Cembalo]
    トーマス・インデアミューレ Thomas Indermuhle [Oboe & Oboe d'amore]
 
 
ゲオルク・フィリップ・テレマン    
Georg Philipp Telemann
(1681-1767)
組曲 第1番 ト長調(「6つの組曲」より)
Suite 1 in Sol Maggiore
ジル・シルヴェストリーニ
Gilles Silvestrini
(1961-)
オーボエ独奏のための6つの絵
Six Tableaux pour hautbois solo(1984-85)
 トゥルーヴィルのロッシェ・ノアール・ホテル(クロード・モネ/1870年)
 菜園と花をつけた木 ポントワーズの春(カミーユ・ピサロ/1877年)
 カプシーヌの大通り(クロード・モネ/1873年)
 森の中の小路(オーギュスト・ルノアール/1874年)
 海辺の情景 嵐の空(ウジェーヌ・ブーダン/1864年)
 スペインの踊り(エドゥアール・マネ/1862年)
フランソワ・クープラン
Fransois Couperin
(1668-1733)
王宮のコンセール 第1番 ト長調
Concert Royal N.1 in sol maggiore
―――(休憩 20分)―――
 
J.S.バッハ
Johann Sebastian Bach
(1685-1750)
オーボエ・ダモーレ協奏曲 BWV1055
Concerto in la maggiore BWV1055
  per oboe d'amore e cembaro
C.P.E.バッハ
Care Philipp Emanuel Bach
(1714-1788)
オーボエ・ソナタト長調Wotq135
Sonata in Sol minore Wotq135
  per oboe e Basso Continuo
ゲオルク・フィリップ・テレマン    
Georg Philipp Telemann
(1681-1767)
協奏曲 第5番 ロ短調(「6つの協奏曲」より)
Concerto 5 in si minore per oboe e cembalo



多分、Kitara以外の会場へクラシック音楽を聴きに行ったのは4年ぶりだと思います。今回初めて、小樽市の市民センター内にある「マリンホール」に行きました。客席が453席の小ホールは、座る席にもよるかもしれませんが、中央付近はかなり音が良い会場でした。当日は残念ながら雨でしたが、オーボエとチェンバロのデュオという珍しいプログラムにもかかわらす、客席は8割ぐらい埋まっていました。

1960年にスペインで生まれたブリツィは、現在ヨーロッパをはじめ、アメリカ、メキシコの各都市でチェンバロ奏者、オルガン奏者、指揮者、作曲家として活躍しています。後期ルネサンスから現代音楽までとレパートリーも広く、多くのCDを録音しています。一方、1951年にベルンで生まれたインデアミューレは、フライブルク音楽院でハインツ・ホリガーに師事し、今日ホリガーの最大の後継者と目されているモダン・オーボエ奏者で、評論家によっては、すでにホリガーを超えたとさえ評されているようです。

今回、所要時間1時間ほどながら、JRに乗ってわざわざ小樽まで行こうという気になったのは、昨年末に出たブリツィとインデアミューレによるテレマンの「6つの組曲と協奏曲」(Camerata/28CM-574)というCDを聴いたからでした。もともとこの曲は、フルートと独奏チェンバロによる演奏版とフルート、ヴァイオリンと通奏低音版の2つの形態の楽譜があるのですが、そのフルートと独奏チェンバロ版をオーボエとチェンバロのデュオで演奏したのが件のCDです。モダン・オーボエの透明感にあふれた音色と旋律ののびの良さがとても印象的で、ぜひ実演に接してみたいと思ったのでした。

打ち合わせが長引いたのか、30分遅れではじまった当日のプログラムは、最初と最後に奏されたテレマンが期待に違わない出来だったのはもちろんですが、他の曲もとても楽しく聴けました。特に2曲目の、今回唯一の現代曲であるシルヴェストリーニの「無伴奏オーボエのための6つの絵」はとても印象的でした。それぞれの曲に「印象派」の絵画の名前を付けられた組曲は、ドビュッシーやラヴェルを彷彿とさせるような旋律の超絶技巧曲で、はじめて聴いた曲でしたが、すっかり魅了されました。

F.クープラン、J.S.バッハ、C.P.E.バッハの3曲は、本体はチェロなどの通層低音楽器を必要とする曲ですが、オーボエとチェンバロだけの演奏でもまったく違和感がありませんでした。特にF.クープランの「王宮のコンセール」は、楽天的で軽やかで愛らしい、いかにもフランス風な感じが良く出ていたと思います。4曲目のバッハの「オーボエ・ダモーレ協奏曲」は、インデアミューレが楽譜無しで演奏したのが印象的でした。

後半になると、2人ともリラックスしてきたせいか、チェンバロの楽譜がオーボエの方に来ていると手渡したり、楽譜は大丈夫かとインデアミューレがチェンバロの方に確認に行ったり、曲の最初にコントのようなやりとりがあるのも楽しかったです。とにかく、2人の掛け合いは演奏中もその間も絶妙でした。

アンコール3曲はすべてテレマンの6つの組曲第3番からで、第3曲Vivace、第4曲Presto、第6曲Allegro の順で演奏されました。実は、演奏の最初にインデアミューレが曲の題名らしきものを言っていたのですが、会場ではついに聞き取れず、次の日に主催の「アプローズ453」に問い合わせて確認しました。最後のAllegroは跳ねるような旋律が印象的な曲なので、だいたい見当はついたのですが、他の2曲は全くわからなかったんです。わかってからCDを聴き直しましたが、コンサートでの演奏の方が勢いがあって良かったように思います。録音などをして実際に聴き比べれば色々粗があるのでしょうが、どうしてもコンサートでの演奏の方が印象が強くなりますね。

自由席のコンサートというのもかなり久しぶりでしたが、本当に楽しい2時間を過ごせました。ただ、音楽とはまったく関係ありませんが、会場のマリンホールには傘置きすら無かったのが、不満と言えば不満でした。市民センター内のホールなので、コート類のロッカーを置いてくれ、とまでは言いませんが、せめて傘立てくらいは欲しかったと思います(私が見つけられなかっただけかもしれませんが)。それにしても、マリンホールの冬場のコンサートの時は、観客はコートやジャケットをどうしているのでしょうか? 膝の上に載せるにしても、かなりかさばると思うんですが……。


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