河原泰則 コントラバス・リサイタル

1999年10月2日(土)19:00
札幌コンサートホール《Kitara》小ホール

    川原 泰則 [コントラバス]
    三ツ石潤司 [ピアノ]
 

 H.エックレス H.Eccles
  ソナタ イ短調 Sonate a-moll

 j.S.バッハ J.S.Bach
  ソナタ Sotate

 P.ヒンデミット P.Hindemith
  ソナタ Sotate

 J.ハイドン J.Haydn
  アダージョ・カンタービレ Adagio cantabile

 G.フォーレ G.Faure
  エレジー Elegie

 G.ボッテジーニ G.bottesini
  悲しみのロマンス Adagio cantabile

 G.ボッテジーニ G.bottesini
  タランテラ Tarantella



昔からチェロやコントラバスといった低音の弦楽器が好きなので、コントラバスのリサイタルがあると知った時に、すぐにチケットを申し込みました。コントラバスのソロ・コンサートなんて、めったにあるものじゃ無いですからね。

演奏者の河原泰則さんは、1973年に一橋大学商学部(!)を卒業しています。一橋大学在学中に併行して桐朋学園でコントラバスを学び、その後ベルリン音楽大に留学、77年に主席で卒業、78年ジュネーヴ国際音楽コンクールで最高位入賞(1位なしに2位)になり、80年からはドイツのケルン放送交響楽団の主席コントラバス奏者を努めています。CDではドイツ・ラルゴから2枚、日本・ソニーから1枚の計3枚が発売されています。

あまり天気が良くないせいもあったのか、お客さんの入りは7割弱ぐらいでした。どこの局かはわかりませんでしたが、テレビ・カメラが入っていたでちょっと驚きました。
コンサートは、ヴァイオリンのお稽古によく使われる(らしい)エックレスの「ソナタ」からはじまりました。原曲のト短調を、コントラバス用にイ短調に移調しての演奏でした。河原さんのコントラバスは、甘やかな優しさの中に適度な渋さがあって、とても幸せな気分になれる音でした。

次いでバッハの「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタニ短調」BVW1028でしっとりとつないだ後、3曲目はがらっとおもむきを変えてヒンデミットによるオリジナルの「コントラバス・ソナタ」になりました。三ツ石さんのキラキラした、やや硬さを含んだ透明なピアノの音と、河原さんの厚くて柔らかみのあるコントラバスの音がうまく絡み合って、本当に素晴らしかったです。

ここで前半終了で休憩になりましたが、今回のリサイタルに来られた方々は、前半の演奏だけですっかり河原さんのファンになったんじゃないかと思います。20分の休憩時間が終わらないうちに、販売されていた3種類にCDはすべて売れてしまいました。もちろん、私も販売促進に一役買わせていただいて、3枚とも購入させていただきましたです。

後半1曲目の、ハイドンの交響曲13番ニ短調の第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」は、原曲はチェロのソロがアリア風のメロディを延々と歌っていくチェロのアンコール・ピースとして有名な曲ですが、もともとコントラバスの曲のように悠々と弾いていました。

3曲目のフォーレの「エレジー」、4曲目、5曲目のボッテジーニの曲は、これでもか、というような超絶技巧の曲でした。ボッテジーニ(1821〜1889)の曲をしっかりと聴いたのはこれがはじめてでしたが、作曲者本人がコントラバス奏者を兼ねていたせいもあって、コントラバスの技巧をこれでもか、と披瀝する本当に凄い曲でした。特に「タランテラ」は、目の回るような急速な動きで、思わず興奮させられてしまいます。コントラバスって、高音も綺麗な楽器だったのだという事を再認識させてもらいました。

客は少なかったですが、最後の曲が終わった後の熱狂的な拍手は、満員の時よりも凄かったと思います。アンコールにはボッテジーニの「エレジー」とシューマンの「トロイメライ」の2曲が演奏されました。「トロイメライ」の幸福感を聴いたときの幸福感は、何とも言えないものがありました。

会場を出てからは、聴いた音楽を反芻しながら、とても幸福な気持ちで家に帰ることが出来ました。もっと沢山の人に河原さんの音楽を聴いてもらいたかったと思いつつ、多少の優越感に浸りながら歩いていたのも事実です。ちなみに、購入した3枚のCDはどれも素晴らしい出来でした。


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