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1998年12月22日(火)19:00
98年最後のコンサートはオルガンの演奏会でした。 演奏者のオリヴィエ・ラトリ Olivier Latry は、プログラムのプロフィールによると、1962年にブローニュ生まれで、ブローニュ・シュル・メール音楽院でピアノを学んだのち、聖モール・デ・フォセ音楽院でオルガンを学び、1985年に熾烈なオーディションを経て、23歳でパリ・ノートルダム寺院の正オルガニストに選任され、現在は、聖ール・デ・フォセ国立音楽院のオルガン科、パリ国立高等音楽院オルガン科で後進の指導にも当たっているそうです。 演奏された曲は、いずれもクリスマスに関連した17〜20世紀のにかけてのオルガン曲でしたが、最初のバッハ以外はすべてフランスの作曲家で、メシアン以外は全部初めて初めて聴きました。軽い明るさがフランスらしいというか、華やかな曲が多かったです。特に前半の曲の中では、ダカンの《グラン・ジュとデュオ》が、ウグイスのさえずりのような音型が何度も出てきて、とても楽しい曲でした。休憩を挟んでのデュプレ以下の近現代のオルガン曲も、非常に興味深かったです。 それでも、この日のコンサートは、メシアンのオルガン曲を実際に聴くことが出来たのが、一番の収穫だったように思います。メシアンの《主の降誕》は、マリー・クレール・アランの録音(抜粋盤)を持っています。単純に演奏で比較した場合は、ラトルよりもアランの方に軍配が上がるとは思いますが、生の迫力はやはり違います。今回のラトルの演奏はとても感動的でした。 最後の《ノエルのテーマによる即興演奏》は「ジングル・ベル」の“ジングル・ベル ジングル・ベル 鈴が鳴る”の旋律を使った即興演奏でした。パリ音楽院のオルガン教育の一環として、高度な即興演奏の伝統があるらしいのですが、あの可愛らしいメロディーを使って、重々しいまでの変奏曲を10分以上にもわたって展開したのには、本当に驚きました。 アンコールは、J.S.バッハの《シュープラ−・コラール集》から「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」BWV645と、C-B.バルバストル(1727-1799)の《イエスがお生まれになった時》が演奏されました。バルバストルの曲は初めて聴いた曲でしたが、バッハよりも伸び伸びと弾いている感じが印象的でした。 オルガンとコンサートは滅多にないせいか、大ホールは9割以上の入りでした。私も、オルガンの生演奏は10年ぶりで、アンコールも含めて正味2時間、たっぷり全身で音を感じて幸せでした。ラトルという人の演奏は初めて聴いたのですが、正確な技術の上にフランスらしい華やかさがあって、とてもよかったです。ただ、バッハはその華やかさが災いして、少し軽さが目立つように感じられるところもありました。 それでも、総じてよい演奏会だったと思います。オルガン曲はやはり生で聴くのが一番だ、と改めて感じさせられました。それと、馴染みのある作品ばかりのコンサートも良いですけれど、今回のような初めて聴く曲の多いコンサートは、次に何が出てくるのか、びっくり箱を開く時のようなワクワクする感じがあって、とても面白かったです。 |