30 食卓の音楽
  ゲオルク・フィリップ・テレマン/ターフェルムジーク
  Georg Philipp Telemann(1681-1767)/Stabat Mater

テレマンは18世紀ドイツの最も重要な作曲家のひとりです。彼は受難曲46曲、教会カンタータ1000曲以上、オペラ20曲以上、室内楽200曲以上、協奏曲100曲以上、管弦楽130曲以上という膨大な数の作品を残しており、当時の人気作曲家でした。

《ターフェルムジーク》は「食卓の音楽」という意味で、王侯貴族が食事時に演奏させるために作曲させたものと思われますが、実際には祝典用音楽としても演奏されたようです。1773年に楽譜が出版された時にはヨーロッパ全土から予約の注文が殺到し、予約者の中にはヘンデルやクヴァンツなど当時の有名作曲家の名もあったと言われます。

全3巻からなるこの曲集は、それぞれが管弦楽組曲、四重奏曲、協奏曲、トリオ・ソナタ、ソロ・ソナタ、終曲の6曲で構成されています。楽器編成も多彩をきわめ、それぞれの楽器の魅力を充分に発揮させつつ、その音色を微妙に対比させていく手腕は見事と言うほかありません。

バッハやシュッツのような深みこそありませんが、華麗でおおらかな、サービス精神にあふれた親しみやすさがテレマンの音楽の信条でしょう。誰が聴いてもわかりやすい、とても楽しい音楽です。


 
【 Reference Disk 】
18世紀カメラータ盤 コンラート・ヒュンテラー指揮/18世紀カメラータ
Konrad Hunteler :director/Camerata des 18. Jahrhunderts
 《ターフェルムジーク》
 1992,93年録音 MD+G [IDC 1018/21]

テレマンが作曲の際に意図していたという、各楽器パートを1名ずつで演奏した録音です。国内版はセット販売のみですが、輸入盤だと分売もされています。小編成のせいか、すっきりと見通しが良く、室内楽的な精密なアンサンブルによる、息のあった演奏を聴くことが出来ます。

MAK盤 ニコラス・アーノンクール指揮/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
 《ターフェルムジーク》
 1986,88年録音 TELDEC[WPCS 6446/9]

生き生きしたリズムに支えられた、新鮮な感動と喜びにあふれたテレマンです。アーノンクールというと、アクセントの強い、癖のある演奏を想像しがちですが、この録音はすべてが自然に、そして自由に営まれているように感じられます。

MAK盤 ラインハルト・ゲーベル指揮/ムジカ・アンティクァ・ケルン
 《ターフェルムジーク》
 1988年録音 Archiv [POCA 2525/8]

ゲーベルの主張を全面に押し出した、MAK特有の切れ味が鋭い演奏です。その強さを受け入れられるかどうかで、評価が分かれる録音でしょう。「食卓の音楽」というには強すぎるかもしれませんが、テレマンの新しい顔が次々と発見できるような、意外性に満ちた面白さがあります。

* 1960年代に録音されたアウグスト・ヴェンツィンガー指揮バーゼル・スコラ・カントルム合奏団[Archiv / POCA 3044(抜粋盤)]とフランス・ブリュッヘン指揮/アムステルダム合奏団[TELDEC / WPCS 4403-6]による《ターフェルムジーク》は、いまだに名演奏に数えられる録音です。特にブリュッヘン盤は、レオンハルトやビルスマなどを中心とする自由闊達なアンサンブルが楽しい録音です。機会が有れば、ぜひ聴いてみてください。

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