26 雅と洗練のチェンバロ
   フランソワ・クープラン/クラヴサン曲集
   Francois Couperin (1668〜1733)/Pieces de viole

フランソワ・クープランは、ほぼ100年にわたって鍵盤音楽奏者を輩出した音楽一族に生まれ、叔父のフランソワと区別するために〈大クープラン〉とも呼ばれています。若干25歳でルイ14世(1643-1715在位)の宮廷礼拝堂付きオルガン奏者となった彼は、王子や王女たちの音楽教師も務めていました。

フランス語でクラヴサンと呼ばれるチェンバロは、ルネサンス時代に全盛を誇ったリュートに変わって、バロック時代になると独奏楽器として、また伴奏楽器として、王侯貴族や裕福な市民のサロンにおける、もっとも重要で一般的な楽器になっていきました。

クープランは教会音楽や室内楽曲にも名曲を残していますが、その創作活動の中心は、質量ともにすぐれた鍵盤音楽にあると言われています。中でも、1713年から1730年にかけ出版された、全4巻27組曲(クープランは組曲をオルドル ordre と名付けています)の221曲という膨大な《クラヴサン曲集》は、当時のロココ趣味の雅と洗練が凝縮したような小品集です。

「偉大にして古き吟遊詩人組合の年代記」「フランスのフォリオ」「恋の夜鳴きうぐいす」「ティク・トク・シュク」など、しゃれた標題が付された各曲は舞曲の味わいを残しながら、美しく小粋で、時にはシニカルな、詩的で絵画的な世界を創り出しています。


 
【 Reference Disk 】
ボーモン盤 オリヴィエ・ボーモン Olivier Baumont
 《クラブサン作品全集》
 1991〜94年録音
   ERATO [WPCS 10866] 【(仏)ERATO[0630 10738 2]】

ボーモンによるクラブサン全集は、洗練された感覚とくすんだ音色が魅力的な録音です。最初は分売されていましたが、現在は全集盤として販売されています。ボーモンらしいきめ細かな演奏は、楽器の音色の良さとも相まって、繊細な音の小宇宙を作り出しています。

ルセ盤 クリストフ・ルセ Christophe Rousset
 《Pieces de clavecin》
 1992〜94年録音 (仏)harmonia mundi [HMC 9014450.52]
    [HMC 901447.49][HMC 901442.44][HMC 901445.46]

ルセによる、颯爽とした切れ味の鋭さを感じさせるクラブサン全集です。写真は第2巻のもの。全4巻で分売されていますから、比較的購入しやすいかもしれません。ボーモンと甲乙つけがたい、軽やかで華やかな、いかにもフランス的な“粋”にあふれた演奏です。

レオンハルト盤 グスタフ・レオンハルト Gustav Leonhardt
 《クラヴサン作品集》
 1995年録音 PHILIPS [PHCP 11076]

レオンハルトの大クープランのクラヴサン曲集は、芳醇ささえ感じさせる老練な技に支えられた演奏です。もう少し軽やかさや遊びの部分があった方がクープランらしい気もしますが、悠然とした穏やかさと格調の高さが、深い感銘を与えてくれる録音です。


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