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イタリア留学中にオラトリオで有名なカリッシミに学んだマルカントワーヌ・シャルパンティエは、17世紀、ルイ14世時代のフランスの作曲家の中でも、宗教音楽の第一人者として知られています。
『ルソン・ド・テネブレ』は、旧約聖書の「エレミアの哀歌」につけられた音楽で、「テネブレ(暗闇の朝課)」とは、復活祭に先立つ水木金の「聖なる3日間」に暗闇で行われる朝課の事です。その最後には13本のロウソクを1本ずつ消していき、暗闇になって終わりますが、13本のロウソクは13人の使徒を、暗闇はキリストの死を象徴すると言われます。
復活祭前の聖週間には世俗的な音楽の演奏は禁止されたため、17世紀のフランスではこの期間に人気歌手たちがこぞってが『ルソン・ド・テネブレ』を歌いました。そのため、多くの作曲家によって名曲が残されています。けれど、シャルパンティエは世俗音楽的な表現を交えずに、あくまでも、キリスト教の精神を純粋に描いて宗教音楽として作曲しました。
シャルパンティエの宗教音楽な中でも、『ルソン・ド・テネブレ』はどちらかと言えば地味な曲で、必ずしも万人向きの音楽とは言いがたいかもしれません。けれど、その地味な上にも地味な音楽の中からほのかに立ちのぼる、優しさや慈しみの色合いが忘れがたい印象を残します。静謐のうちに深い祈りを感じさせる、しみじみと美しい音楽です。
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