22 ダイレクトな描写音楽
  アントニオ・ヴィヴァルディ/四季
  Antonio Vivaldi(1679〜1741)/Le quattro stagioni

ヴィヴァルディの「四季」は、中学校の1年生の音楽鑑賞の時間に、今でもバロック音楽の代表として取り上げられるポピュラーすぎるほどポピュラーな名曲です。イ・ムジチ合奏団の録音を持っているよ、という方も多いのではないでしょうか。

「四季」は『和声と創意への試み op.8』という12曲からなる協奏曲集中の第1番〜第4番までを指してます。各曲の冒頭には四季の風景を描いたソネットがつけられており、表題音楽的な側面もあって聴きやすい音楽だと言えると思います。

ただし、ヴィヴァルディの曲は通俗すぎて嫌いだ、と公言する人も多く、ヴィヴァルディの協奏曲は「600の協奏曲ではなくて600の変奏曲を書いただけだ」と評されることもあります。私自身、ヴィヴァルディが好きかと言われると、多少のためらいを覚えなくもありません。
けれど、協奏曲の3楽章形式を確立したということだけでも、後世への影響を考えるならば、功績としては充分すぎると言えなくはないでしょうか。

最近の「四季」の演奏では、ニコラス・アーノンクールが先鞭を付けた[1977年録音:Warner Classics/WPCS-21043]大胆な解釈を施したものが、イタリアの演奏家を中心として、オリジナル楽器、モダン楽器ともに増えてきました。一種のブームと言って良いかもしれません。その演奏を良しとするかどうかは好みの別れるところですが、思わず聴き入ってしまうものが多いのも確かです。


 
【 Reference Disk 】
エウローパ・ガランテ盤 エウローパ・ガランテ
 《四季》
 1991年録音 opus111 [MOPS 56 9120]

各章ににつけられたソネットを強調した“過激”な“新解釈”盤の中でも、すでに古典的な地位を得ている録音です。この系統の演奏に慣れた耳には、今では穏やかにさえ聴こえるでしょう。けれど、ヴィヴァルディ解釈に一石を投じた、90年代を代表する1枚でもあります。アンサンブルの美しさと、リードするファビオ・ビオンディのヴァイオリンの艶やかとが相まって、爽快感さえ感じさせてくれる名演です。

ソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ盤 ソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ
Sonatori de la Gioiosa Marca
 《Le Quattro Stagioni》
 1993年録音 (瑞)DIVOX [CDX 79404]

粒立ちがハッキリしたアンサンブルが、程良い緊張感を感じさせてくれます。ソネット強調の“新解釈”盤の中では比較的穏やかな演奏ですが、バランスの良い、変幻自在なアンサンブルの響きの美しさと、ヴァイオリンの瑞々しさに打たれます。やや入手が難しいのが難点ですが、ぜひ聴いてみて欲しい1枚です。

イル・ジャルディーノ・アルモニコ盤 イル・ジャルディーノ・アルモニコ
 《四季》
 1993年録音 TELDEC [WPCS 6471]

テオルボやオルガンも動員してのこの演奏は、強奏に至っては暴力的とさえ言える過激さで、ヴァイオリンの弦とブリッジがこすれ合う、バリバリという音さえ聞こえて来ます。感覚としてはロックに近いかもしれません。それでも、演奏は文句のつけようが無いくらい巧いのです。これは、永遠に“異色”の録音かもしれません。

* 以上、現在《四季》の演奏法としてはスタンダードとなりつつある、ソネットを強調した過激派(?)の3点を選びましたが、楽譜通りの演奏の美しさも捨てがたいものがあります。ロマン的な演奏のイ・ムジチ盤(ヴァイオリン独奏:アーヨ)[Philips PHCH9582]や颯爽としたピノック指揮イングリッシュ・コンソート盤[Grammophon POCG90347]なども私は好きです。


[back] [index] [home] [next]