21 ヴァイオリンが主役
  アルカンジェロ・コレッリ/ラ・フォリア
  Arcangelo Corelli(1653〜1713)/La Follia

アルカンジェロ・コレッリの作品5の12のソナタは、ヴァイオリンと通奏低音(ハーモニーを演奏する鍵盤楽器とチェロないしはその他の低音楽器)によって演奏されます。つまり、モーツァルト以降のソナタと違い、コレッリの時代のソナタは3人で演奏される形式のものでした。

コレッリの時代は、音楽が宮廷のサロンから一般大衆のための劇場へと移行していった時代であり、それに伴って楽器も小さな空間に向いた雅な音から、広い空間でも充分響く強く大きな音へと変換していった時代でした。その時代の要請に従って発展を極めていった弦楽器が、ヴァイオリンやチェロといったヴァイオリン属の楽器だったわけです。

ストラデヴァリウスなどの名工がより響きの良いヴァイオリンを作り出していた時、その楽器に見合った音楽を最初に作り出したのがコレッリでした。バロックの作曲家としては珍しく、自作を積極的に発表しなかったために作品数は多くありませんが、作曲家自らが厳選したぶん、現存しているコレッリの作品はどれも名作の誉れが高いものばかりです。

その中でも《ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品5》全12曲中の最後を飾る単一楽章の『ラ・フォリア』は特に有名です。イベリア半島が起源とされる古い舞曲の低音旋律の上に、ヴァイオリンが技巧的な変奏を加えていくこの曲は、あらゆる技巧を尽くした変奏曲の名品であり、ヴァイオリンという楽器の華やかさを充分に堪能させてくれる素晴らしい作品になっています。


 
【 Reference Disk 】
寺神戸盤 寺神戸亮(バロック・vn)
 《バイオリンと通奏低音のためのソナタ集 作品5より》
 1994年録音 DENON [COCO 78820]

寺神戸亮の最初のコレッリの録音で、若々しく生き生きとした名演奏を聴くことができます。op.5の後半の6曲のみですが、通奏低音との息もぴったりで、歯切れの良さと艶やかな柔軟さを合わせ持った、瑞々しく表情豊かなコレッリの音楽の魅力が余すところなく表現されています。

クイケン盤 シギスヴァルト・クイケン(バロック・vn)
Sigiswald Kuijken
 《Sonate a Violino e Violone o Cimbalo, op.V》
 1984年録音 (白)ACCENT [ACC 48433 D]

潔いほどに颯爽とした演奏。不要な饒舌をいっさい切り捨てて、作品の本来あるべき姿にひたすら迫ろうとするような、音楽の構成を明確に表現した造形的な演奏です。それでいてほのぼのとした抒情性を失わないところが、クイケンのクイケンたる所でしょうか。

ロカテッリ・トリオ盤 ロカテッリ・トリオ
The Locatelli Trio
 《Violin Sonatas op 5》
 1990年録音 (英) Hyperion [CDA 66381/2]

ヴァイオリンのゆったりとした、儚げな音が印象的な録音です。全体的に静かな印象を受けるのは、ヴァイオリンの渋めの音色によるところも大きいかもしれません。派手さこそありませんが、瑞々しさとしっとりした柔らかさとを感じさせる美しい演奏だと思います。

* ヴァイオリンとチェロによる『ラ・フォリア』を収めたトリオ・ヴェラチーニ盤[瑞Novlis/150 128-2]もなかなか面白い録音です。ブリュッヘンがヴァイオリンの変わりにリコーダーで演奏したSEON盤[(独)Sony 61786]とTELDEC盤[Warner Classics Japan/WPCC5668]もあります。どちらも素晴らしい録音なので、ぜひ聴いてみて欲しいと思います。


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