20 古典派ソナタへ至る道
  ドメニコ・スカルラッティ/ソナタ集
  Domenico Scarlatti(1685-1757)/Sonate per cravicembalo

ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)は、バロック・オペラの中興の祖であるアレッサンドロ・スカルラッテの息子として、バッハやヘンデルと同じ年に生まれました。青年時代はイタリアでオペラや宗教音楽の作曲を行いましたが、1720年代前半から長くスペイン、ポルトガルに滞在し、主に鍵盤音楽のための作品を作曲しています。

ドメニコ・スカルラッティのチェンバロ・ソナタ(初期のフォルテ・ピアノを使用したという説もありますが)は、現代でもピアノの練習曲として利用されています。これは、スカルラッティのソナタの中に両手の交差など、古典派以降のピアノ曲で普通に使われるテクニックの多くが含まれているためです。

ただし、単一楽章で構成されてスカルラッティのチェンバロ・ソナタは、決して機械的な練習曲ではありません。極めて自由奔放な手法で書かれており、舞曲のリズムも多く取り入れられていて、聴いているだけでも充分な楽しさを感じさせてくれます。

なお、スカルラッティのチェンバロ・ソナタの整理番号としては、現在ではアレサンドロ・ロンゴによるL番号と、ラルフ・カークパトリックによるK番号の2種類が使われています。

* ここではチェンバロによる演奏をとりましたが、ピアノで演奏されたものにも素晴らしい録音が沢山あります。ホロヴィッツ[Sony Crassical-SRCR2058]やポゴレリチ[Grammophon-POCG1623]などの演奏にも、ぜひ耳を傾けてみて下さい。


 
【 Reference Disk 】
ロス盤 スコット・ロス
 《スカルラッティ:ソナタ選集》
 1984,85年録音 WARNER CLASSICS [WPCS-21069]

ロスは555曲のソナタを全曲録音しています[Erato:WPCS-5411/44]。かなり迷ったのですが、参考盤はそこから19曲を選んだ選集盤にしてみました。有名曲集でこそありませんが、優れたリズム感に彩られたロスの演奏の一端を知ることが出来ます。この録音でロスとスカルラッテが気に入ったら、ぜひ34枚からなる全集盤も聴いてみて下さい。

ルセ盤 クリストフ・ルセ
 《D.スカルラッティ:チェンバロ・ソナタ集》
 1997年録音 DECCA [POCL-1849]

11曲目までを力強い音のポルトガル製チェンバロで、残りの4曲を典雅な音のイギリス製チェンバロで演奏した録音。ルセの演奏は形式を重んじつつも、ほどよい気楽さとリズム感にセンスの良さが感じられます。抜群のテクニックに加えて、愛敬と機智に富んだ楽しい演奏が繰り広げられています。

曽根麻矢子盤 曽根麻矢子
 《D.スカルラッティ:知られざるソナタ集》
 1993年録音 ERATO [WPCS-10154]

ロスの弟子だった曽根麻矢子の録音は、まるでロスの「555のソナタ」を補完するように、K番号を持った555曲以外の、題名通りあまり知られていなしソナタを弾いています。スカルラッティの真作であるかどうか疑わしい曲もありますが、デリケートなタッチの中に情熱が感じられる、すばらしい演奏を聴く事ができます。


[back] [index] [home] [next]