18 聖母の嘆き
  ジョバンニ・バッティスタ・ペルゴレージ/スタバト・マーテル
  Giovanni Battista Pergolesi(1710-1736)/Stabat Mater

わずか26歳で世を去ったペルゴレージが、その生涯の最後に書き残した作品が《スタバト・マーテル》です。十字架のもとにたたずむ、悲しみに沈む聖母マリアへの賛美と祈りを綴ったラテン語詩《スタバト・マーテル》は、18世紀にはローマ教会の公式典礼に採用され、数多くの音楽家によって作曲されました。

ペルゴレージの《スタバト・マーテル》は、あまたある同種の曲の中でも代表的な作品であり、彼の天才を最も純粋な形で遺したと評される曲でもあります。

宗教曲と言うにはいささかオペラ的すぎる感もあるのですが、これは、キリストの受難を追想する期間にはオペラの上映が禁止されたため、それに変わる娯楽のひとつとして作曲された宗教曲として一般的な傾向でもありました。

高音の二人の歌手と弦楽合奏によって切々と歌われる、この上なく甘美で劇的なこの曲は、有名であるだけにモダン楽器、オリジナル楽器を問わず多くの名盤が存在します。モダン楽器の演奏による録音も捨てがたいのものが多いのですが、参考盤はやはりオリジナル楽器による演奏盤から選んでみました。


 
【 Reference Disk 】
ホグウッド盤 クリストファー・ホグウッド指揮/エンシェント室内管弦楽団
 《スタバト・マーテル》
 1988年録音 L'OISEAU-LYRE [POCL 5234]

エマ・カークビーのソプラノとジェイムズ・ボウマンのカウンター・テナーによる録音。独奏者ふたりの声と器楽が全く平等にハーモニー作りに参加していて、響きが良く解け合っています。悲嘆さをことさら強調することのなく、バランス良くすっきりとまとめられた清楚な美しさを感じさせる演奏です。

マルゴワール盤 ジャン=クラウデ・マルゴワール指揮/ラ・シャンブル・デュ・ロワ
Jean-Claude Malgpire: direction/La Chambre du Roy
 《Stabat Mater》
 1995年録音 (仏)ASTREE [E 8556]

イザベル・プールナルのソプラノとジャン・ルイ・コモレットのカウンター・テナーによる録音。ソプラノとアルトの調和も良く、マルゴワールの緊張感と軽快さを兼ね備えたオーケストレーションによる、オペラに通じる明暗の対比の美しさが印象的な演奏です。

レーヌ盤 ジェラール・レーヌ指揮/イル・セミナリオ・ムジカーレ
Gerard Lesne: direction/Il Seminario Musicale
 《Stabat Mater》
 1997年録音 (英)Virgin Classics [5 45291 2]

ヴェロニク・ジャンスのソプラノとジェラール・レーヌのカウンター・テナーによる録音。何より伴奏の鋭角さがイタリア的な雰囲気を感じさせます。ジャンスとレーヌの歌唱は、劇的でありながら深みのある広がりをたたえ、美しい二重唱を展開しています。

ヤーコプス盤 ルネ・ヤーコプス指揮/コンチェルト・ヴォカーレ
 《Stabat Mater》
 1983年録音 harmonia mundi FRANCE [KKCC 9060 ]

セバスティアン・ヘニッヒのボーイ・ソプラノとルネ・ヤーコプスのカウンター・テナーによる録音。録音的には古くなりましたが、最小限にきりつめられたオリジナル楽器の柔らかな美しさが印象的です。ボーイ・ソプラノとカウンター・テナーが独特の響きを作り上げ、抑制された表現がかえって深い悲哀を感じさせる演奏です。


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