15 流れよ、我が涙
  ジョン・ダウランド/リュート歌曲集
  Joho Dowland(1563?-1626)/Lute songs

ダウランドはイギリス・ルネサンスを代表するリュート奏者であり、リュート音楽の作曲者でもありました。イギリスのリュート・ソングは、ダウランドによって大成されたと言っても過言ではありません。

ダウランドは10代後半にフランス大使に随行してフランスに渡り、以後何回かイギリスに戻った際に宮廷楽士を目指しますが果たされず、1612年、50歳近くになって、ようやく念願の宮廷リュート奏者に任命されました。

ダウランドの創作活動の中心はリュートのための作品だったわけですが、彼の80曲余りのリュート独奏曲は生前にほとんど出版されず、一方、リュート伴奏付きの歌曲は、大部分が4巻の歌曲集として生前に出版されました。それらの歌曲は、独唱だけでなく、重唱や器楽伴奏付きででも演奏できるように書かれた、当時としては画期的なものであったようです。

ダウランドのリュート・ソングは多様な手法を使って書かれていますが、一貫してメランコリーの翳りが認められるのが特徴だと言われています。《流れよ、わが涙》は歌曲集第2巻におさめられていますが、特に訴えかけるような深い哀愁を感じさせ、当時ヨーロッパ全域で広く知られた流行歌となりました。


 
【 Reference Disk 】
ルーリー盤 アントニー・ルーリー指揮/コンソート・オブ・ミュージック
 《リュート歌曲集》
 1976,77年録音 L'OISEAU-LYRE [POCL 5206]

重唱を多用した演奏が特徴的で、伴奏もリュートではなくヴィオールを使用しています。《流れよ、わが涙》も、ソプラノのエマ・カークビーとバスのデイヴィッド・トーマスの2重唱で演奏されています。カークビーの透明で伸びやかな声が非常に印象的な録音です。

アグニュウ盤 ポール・アグニュウ(T)/クリストファー・ウィルソン(lute)
Paul Agnew (T)/Christopher Wilson (lute)
 《Songs Book I & Book II》
 1995年録音 (英)METRONOME [MET CD 1010]

テノール独唱とリュート伴奏による録音。曲によっては少し歌唱が粘つくような印象がありますが、全般的に感情豊かにしっとりと歌い上げています。聴く人によってはかなり好みが別れそうな気もしますが、独特の味わいのある演奏だと思います。

波多野盤 波多野睦美(S)/つのだひろし(lute)
 《悲しみよとどまれ》
 1992年録音 ダウランド・アンド・カンパニイ(PARDON)[TH 4628]

ソプラノ独唱とリュート伴奏による録音。日本人が歌っているとは思えないぐらい、流れるような自然な発音で歌われていきます。優しく暖かみのある歌唱が非常に印象的で、何度も繰り返し聴きたくなるような演奏です。

* 参考盤は『流れよ、我が涙』を含んだ、ダウランドの歌曲のみを集めた録音から選びましたが、当時の様々な作曲家の歌曲を集めたアンソロジー集やアンコール・ピース集、また『流れよ、我が涙』を含まないダウランドの歌曲集などにも良い録音がたくさんあります。アルフレッド・デラー[仏harmonia mundi HMT 790245]やルーファス・ミューラー[英ASV CD GAU 135]の名演も含めて、最終的には色々聴き比べて好みの歌手や録音を探してみて下さい。


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