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ウィリアム・バードは、エリザベス1世(1558-1603在位)の時代に宮廷音楽家として活躍し、同時に、当時のイギリスで最高の音楽家として認められた人物でもありました。
しかしながら、英国国教会の立場をとるエリザベス1世のもとで、バードはカトリック教徒として信仰を持ち続けていました。“国教忌避者”として晩年にはロンドンからエセックスへと隠棲しますが、そこでもたびたび告発を受けたり罰金に処せられたりと、度重なる弾圧に耐えながら信仰を守り通しました。
バードの3声、4声、5声の3つのミサ曲は、1592〜95年にかけて出版されましたが、なぜかその楽譜には表紙がつけられていませんでした。その理由はわかっていませんが、彼の信仰のありようから色々なことが想像されます。
例えば、3つのミサ曲とも、曲の形式は英国国教会の典礼にそっていることが、今日の研究で明らかにされています。けれど、バードや彼の周辺の人々は、実際はこの曲をカトリックの典礼音楽として利用していたのかもしれません。それ故に、版元が判明することを怖れて表紙をつけなかったのではないか、と考えることも可能なのではないでしょうか。
バードの3つのミサ曲は、静けさに満ちた美しいハーモニーの中に、不思議に感動的な世界が形作られているように思われます。それは、バードの秘められた宗教への情熱が、曲の中に吐露されいるからかもしれません。
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