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16世紀のイギリスでヘンリー8世、エドワード6世、メアリ1世、エリザベス1世の4人の君主に使え、教会がカトリックとプロテスタント(英国国教会)の間で二転三転する激動の時代を生き抜いたトマス・タリスの作品の中でも、《エレミアの哀歌》はチューダ王朝時代のイギリス教会音楽を代表する作品と言えるでしょう。
《エレミアの哀歌》は、旧約聖書に記された予言者エレミアのことばによっています。これは、新バビロニアによって滅ぼされたイェルサレムの荒廃を嘆き、不信心者に正しい信仰の道へ立ち返るように勧めるものです。
15世紀以降、様々な作曲家が《エレミアの哀歌》を多声楽曲として作曲していますが、中でもタリスの作品の静謐さと甘美さは群を抜いているように思えます。シンプルで淡々とした旋律の中に、切ないまでの思いが込められているように感じられます。
青年時代のタリスは、いくつかの教会にカトリック教の信者として仕えていました。《エレミアの哀歌》自体はカトリックではなく、国教会の典礼のための作品として書かれたとされていますが、もしかすると、タリス自身の秘められた悲哀が込められているのかもしれません。
この曲の録音では、やはりイギリスの重唱団や合唱団による演奏が優れているようです。ここにあげた以外にも、プロ・カンティオーネ・アンティクァ盤やパロット指揮タヴァナー・コンソート盤など、それぞれにおもむきがあって甲乙つけがたいものがあります。
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