08 成期フランドル楽派の名作
  ジョスカン・デ・プレ/ミサ・パンジェ・リングァ
  Josquin Des Prtz(1450/55?-1521)/Missa Pange lingua

ジョスカン・デプレは、オケゲムの後を受けて15世紀末から16世紀初頭にかけて活躍した、ルネサンス音楽を代表する作曲家のひとりであり、レオナルド・ダ・ヴィンチが美術で果たした役割を、音楽の上で果たしたと言われています。

ジョスカン・デプレは多数の宗教曲や世俗的シャンソンを作曲していますが、《ミサ・パンジェ・リングァ》は最晩年の代表的な作品のひとつです。グレゴリオ聖歌の「パンジェ・リングァ−舌よ歌え」の旋律をモチーフにし、聖歌を節に分けてそのひとつひとつからミサの各曲の冒頭のフレーズが生み出され、各パートはそれを模倣し合うことで曲が構成されていきます。

各声部が独立した極めて手の込んだポリフォニー手法を基本としながらも、主旋律を際だたせようとするイタリア的なホモフォニーの書法も充分に消化されているために、複雑に絡み合う声部の中で、主旋律がくっきりと浮かび上がってきます。

ポリフォニーとホモフォニーの危うい均衡を保ちながら、あくまでも清らかで明るい美しさに満ちたジョスカン・デ・プレの音楽は、まさにダ・ヴィンチの絵のような、名工の作った名作と言うことが出来るでしょう。


 
【 Reference Disk 】
タリス・スコラーズ盤 ピーター・フィリップ指揮/タリス・スコラーズ
Peter Phillips: direction/The Tallis Scholars
 《Missa Pange Lingua》
 1986年録音 (英)Gimell [CDGIM 009]

この曲の素晴らしさを世に知らしめた録音。とことん窮め尽くした合唱にどんなことが出来るかを教えてくれた、驚異的な演奏技法を誇るタリス・スコラーズの録音の中でも、屈指の名演奏だと思います。たっぷりとした音でのびのびと演奏されていて、アンサンブルの精度という点でも他の追随を許しません。

ア・セイ・ヴィーチ盤 ア・セイ・ヴォーチ
A Sei Voci
 《Missa Pange Lingua》
 1999年録音 (仏)Naive Astree [E8639]

ア・セイ・ヴォーチによる《パンジェ・リング》は、12世紀に建築された教会での、残響たっぷりの美しい録音です。印象的な鐘の音からはじまり、全般的に柔らかく、宗教曲と思えないほどに色彩感び富んだ演奏が繰り広げられています。それが嫌みにならないのは、均整がとれた軽やかさが感じられるからだと思います。

ジャヌカン・アンサンブル+アンサンブル・オルガヌム盤 クレマン・ジャヌカン・アンサンブル,アンサンブル・オルガヌム
 《ミサ・パンジェ・リングァ》
  1986年録音 Harmonia Mundi FRANCE [KKCC 248]
         *(仏)Harmonia Mundi FRANCE [HMC 901239]

クレマン・ジャヌカン・アンサンブルとアンサンブル・オルガヌムという、超個性的な団体の異色のジョイント盤。それぞれの歌手たちが個性的な声と歌を聴かせてくれます。お世辞にも美しいとは言い難い録音なのですが、創造的で破壊的な、不思議な説得力に富んだ演奏を繰り広げています。

盤 ジェイムス・オドンネル指揮/ウェストミンスター大聖堂聖歌隊
James O'Donnell: direction/WESTMINSTER CATHEDRAL CHOIR
 《Missa Pange Lingua》
 1992年録音 (英)hyperion [CDA 66614]

清らかな少年合唱が印象的な録音。厚めの合唱が、ゆったりとしたテンポで流麗に旋律を奏でていきます。どちらかというと大味な感じもしますが、真摯な優しさを感じさせる演奏です。


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