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キリスト教の最も重要な典礼(儀式)のひとつであるミサで歌われる曲は、はじめは全部グレゴリオ聖歌だったわけですが、やがて各章が単独に作曲され、ミサのたびにそれらが組み合わされるようになりました。
時代が下るにつれて、次第に一定の組み合わせが写本にまとめられるようになり、「ミサ曲」の概念が生まれて行くことになります。ひとりの作曲家がミサの通常文の全てを作曲したものを「通作ミサ」と呼んでいますが、ギョーム・ド・マショー(1300頃-1377)の『ノートル・ダム・ミサ』は、その「通作ミサ」の現存する最古の作品です。
同時に、14世紀中頃に作曲されたと推測されているこのミサ曲は、当時のアルス・ノヴァと言われる作曲技法がきわめて熟練した形で駆使された、代表的な作品であるとも言われています。
語尾を引っ張る独特な音の区切り方やデリケートで複雑なリズム、不協和音的なハーモニーなど、『ノートル・ダム・ミサ』は、それ以前のグレゴリオ聖歌とも、その後のフランドル楽派のミサ曲ともまったく違う、独特な響きを持った魅力ある音楽です。
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