02 聖母への誉め歌
   聖母マリアのカンティガ集 Cantibas de Santa Maria

カンティガという言葉は『歌』を意味し、13世紀頃の中世イベリア半島(スペイン、ポルトガル)で歌われていた単旋律の歌曲を指します。そして、「賢王 EL SABIO」と呼ばれたアルファンソ10世(1252-82在位)が直接編纂に関わった《聖母マリアのカンティガ集 CANTIGAS DE SANTA MARIA》は、現存するほぼ唯一のカンティガ集だと言われています。

ポルトガル系のガリシア語で書かれた400曲余りの歌詞の内容は、ほとんどが聖母マリアの奇跡物語です。様々な階層の人々が危機に陥ったり、悪行に溺れそうになったなったときに、聖母マリアが現れて救済したという内容がほとんどを占め、中世の人々の素朴なマリア信仰を彷彿とさせます。

旋律も当時の世俗曲や民謡的なものに基づいていると考えられていて、非常に素朴で親しみやすさがあります。そして、当時のイベリア半島はイスラム文化との交流の地でもありましたから、どことなくアラブ的な雰囲気も漂っています。

中世の楽曲の中でも非常に人気のある曲なので、録音も比較的多い方です。中世音楽を得意とする様々な団体が、それぞれの観点から曲目を選び、伴奏楽器や伴奏方法を工夫して録音をしています。それぞれに個性的で興味深く、選ぶにもなかなか苦労をします。


 
【 Reference Disk 】
サヴァール盤 ジョルディ・サヴァール指揮/カペーリャ・レイ・アル・カタルーニャ
Jordi Savall: direction/LA CAPELLA REIAL CATALUNYA
 《ALFONSO X EL SABIO CANTIGAS DE SANTA MARIA》
 1993年録音 (仏)ASTREE [E 8508]

非常に雰囲気豊かで神秘的な歌を聴くことができます。端麗と言うことばが一番似合う録音でしょう。誰が選んでもベスト3に入ってくるのではないでしょうか。

 
エドゥアルド・パニアグア盤 エドゥアルド・パニアグア指揮/エドゥアルド・パニアグア古楽団
 《マリアの生涯》 
 1995年録音 SONY CLASSICAL[SRCR 2212/3]

スペインの演奏家による土の香り豊かな録音。全体にアラブ風で、歌唱などは多少ごつごつした素人っぽい印象を与える演奏ですが、それがかえって本場のリアリティを感じさせてくれるようです。同じシリーズで《カスティーリャとレオンのカンティーガ》[SRCR 2214]《癒しの奇跡》[SRCR 2215]も出ています。

ミクロログス盤 ミクロログス
MICROLOGUS
 《MADRE DE DEUS Cantigas de Santa Maria》
 1998年録音 (仏)opus111 [OPS 30-225]

洗練されたフォークロア、と言うのがこの録音を表すには一番よい表現かもしれません。アラブと西洋が混じり合ったような、一種独特な演奏が流麗に流れていきます。万人向きではないかも知れませんが、非常に楽しいディスクです。


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