01 最古のヨーロッパ音楽
   グレゴリオ聖歌 Cantus Gregorianus
グレゴリオ聖歌は最古の“再現可能”なヨーロッパ音楽であり、古くは9世紀頃から譜面が残されています。けれど、解読が可能になるのは11世紀以降の楽譜からで、それも音の高低がわかる程度のものです。

したがって、19世紀末になって原則的にすべての音符を同じ長さにとって歌う「ソレム唱法」が公認されるまでは、時代や地域によって様々な唱方で歌われていたものと思われます。

また、ヴァチカンによって100年近くもの間、“正規”な歌い方として認められているソレム唱法にしても、研究者から見れば疑問の多い唱方のようです。もしかすると、今後、全く違う唱方が出て来る可能性さえあるかもしれません。

ところで、グレゴリオ聖歌の録音には、ソレム唱法以外にも色々な唱方による録音があります。20世紀になって提唱された、長短のリズムをつけた解釈による演奏もありますし、最近ではルネサンス〜バロックにかけての標準的な演奏方法だった、装飾音をふんだんにつけた唱方による演奏の録音も出てきています。

それでも、ソレム唱方で演奏されたときの快美感は、他の唱方とは一線を画しているように思います。ヒーリング・ミュージックとしてのグレゴリオ聖歌をお求めなら、ソレム唱方による修道院や教会の合唱団によるものか、それをまねたプロの演奏家の録音を選択するのが良いかも知れません。

その他、グレゴリオ聖歌にはシンセサイザーで演奏したものや、他のジャンルの音楽とクロスオーバーしたもの(オフィチウムなど)もあります。これはこれで、面白い録音が多いと思います。


 
【 Reference Disk 】
ソレム修道院聖歌隊盤 クレール神指揮/サン・ピエール・ド・ソレム修道院聖歌隊
 《グレゴリオ聖歌:レクイエム》
 1991年発売 セブンシーズ [KICC 25100]

本家本元であるソレム修道院聖歌隊による録音。ミサや聖務日課ごとに録音がまとめられていますが、どの録音もたっぷりと抑揚をつけた耽美的な演奏です。この録音よりもっとムード的なガジャール神父指揮の録音[KICC 6771〜90]もあります。

 
シロス修道院合唱団盤 クエスタ神父指揮/シロス修道院合唱団
 《グレゴリアン・チャント(グレゴリオ聖歌)》
 1973年録音 EMI [TOCE 8374]

これも「ソレム唱法」の録音ですが、ソレム修道院聖歌隊に比べるとすっきりした印象を与えます。修道院等の合唱団の録音としては、一番スタンダードな演奏かもしれません。93年末に爆発的に売れた録音でもあります。

 
ディスカントゥス盤 ブリジット・レーヌ指揮/ディスカントゥス
Brigitte Lesne: direction/DISCANTUS
 《EYA MATEL》
 1992年録音 (仏)Opus111 [OPS 30-143]

12世紀頃(ゴシック期)からはじまった装飾音を付加した唱方による演奏です。ディスカントゥスは女性だけのヴォーカル・アンサンブルのせいか、少しばかり腰の弱さを感じる部分もありますが、とにかく美しい録音です。


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