Deep Sea/Text






西瓜と花火と




「手塚がマヌケなんだよなぁ〜まったく」
まあまあと大石が宥めるが、菊丸はそれでも
大石は手塚に甘すぎ!!と、今度は大石に矛先を変え、
治まらない怒りをぶつけていた。



事の成り行きは、どうやら手塚が
タライの水が温くなったので、変えようとした時に
水と一緒に西瓜まで流してしまい、水場の縁の部分にゴツと
鈍い音をさせ、ぶつけてしまったのである。
当たり所が悪かったのか、西瓜の2/3位切れ目が何本か走り
慌てて手塚が持ち上げた時には、パッカリと2、3つに割れ
置き場もなく困り果てていたので、結局食べ初めてしまったのである。

「折角、綺麗に三角に切って、頭のあンまーいトコロをシャクッ!って
食べたかったのに!!」
「でも、さすが英二が選んだだけあって、充分旨いよ、この西瓜」
「ホントにぃ?ホントに旨い大石ぃ?」
「もちろん」
菊丸の扱いは手慣れた大石にまかせ、手塚はぼんやりと
夜空を眺めていた。



リョーマはカコンと下駄を鳴らして、手塚の傍らに近づき、
「・・・部長、俺にも西瓜くださいよ」と浴衣の袖を軽く握りしめた。
手にした西瓜を無理矢理2つに割ると、無言でリョーマに差し出し、
割った際に手から肘へと流れた西瓜の滴を、手塚はなんの躊躇もなく
舌で受け止めた。


袖を握りしめた手に無意識に力が入るのがわかった。
「・・・俺、そっちの方が食べたい」
つい口にしてしまった言葉の意味に、自分自身が動揺してしまう。
「ん?それだけじゃ不服なのか?」
いや、そういう意味じゃ・・・と言いかけた時、手塚は手にしていた自分の
西瓜を指で適当な大きさに取ると、そのままリョーマの口元に差し出した。



濡れた指先から甘い水が滴り、赤い果実が自分の中に降りてきた。
果実より先に、指の滴を舌で絡め取ると手塚は慌てて引き戻した。
「もっと、くれる?・・・ねぇ、俺もっと欲しいよ」
「なんのまねだ?」
「その西瓜が欲しい、そんだけッスよ」
「西瓜だけか?」

「もちろん・・・」

−アンタもだよ。
そう言おうとした時、夜空の華と音に阻まれた。
「いつまで喰ってんだよーおチビーっ!!花火すっぞ!花火ぃ!!」
すっかり機嫌が治った菊丸は両手に花火を持ち、
チャッカマンを手にした大石は、次の打ち上げ花火に火を点けようと
導火線を探していた。

「・・・菊丸先輩の馬鹿」ポツリと呟くと
「ほら、行くぞ」と何事も無かった様に、手塚に背中を押された。

西瓜の味と火薬の匂いと舌に残る爪の感触。
夏の終わりはまだ来ない。



END
リョ塚なんですよ。塚リョみたいな部分もある感じですけど
リョ塚なんですー!!
永遠の片思い、それが俺のリョ塚です。反面永遠の両思いが大菊。
キオさんの挿し絵が楽しみだなぁ〜。(某所でのキリリク用SSなのです)
■高宮■

ギャー!ラブいリョ塚ラブ!(くどい)
好きなのに自分ではうまくかけないラブいリョ塚。ありがとう高宮さん。
ちなみにこれ、メール連載でした。リョ塚メールマガジン…!至高!
■ヒダリ■



モドル
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