Deep Sea/Text






部長の羽衣




むかしむかし、リョーマが浜辺をランニングしていると
松の枝に、ジャージがかかっていました。
そのジャージはまぶしい白と濃いめの青色に輝き、
赤いラインがアクセントのジャージです。

「ふーん」
リョーマは、えいっと手にとり、テニスバッグに無理矢理に詰め込みました。

その時、林の奥から美しい声が聞こえました。
声のする方に行ってみると、眼光鋭い男子がいました。
「どうかしたんスか?」
「俺は青学テニス部、手塚だ。レギュラージャージが消えて、
俺だけレギュラー落ち確定だ。。。」
リョーマは、さっきのジャージだとわかりました。

けれど、手塚を帰したくなくて、こう言いました。
「ジャージが見つかるまで、うちにくれば?」

こうして、手塚はリョーマの家で暮らす事になりました。

「んぢゃ、行ってくる。」
リョーマが学校へ行っている間、手塚は一生懸命素振りをします。
仲良く、寺でテニスをする二人は、どんどん上達し、
やがて全国大会クラスの腕前になりました。

ある日、リョーマが家を出た留守に、手塚は家の中の掃除をしていました。
すると、押入から、無くしたはずの青学レギュラージャージが出てきました。
手塚は、白目になる程驚き、そして怒りました。
「ジャージを隠していたのは、アイツか。。。」

リョーマが家に帰ると、玄関に青学レギュラージャージを着て
腕組みした手塚が立っていました。
「今まで、俺のジャージを隠していたのは、お前だな。」

リョーマはしぶしぶ謝りました。
「すいません。だって……」
「だって・・・なんだ?言ってみろ。」
「あんまりにも、キレイだったから・・・つい・・・」
手塚は呆れながら、こう言いました。

「お前と別れるのはツライが、ジャージが見つかったからには試合に出ねばなら
ん。
このジャージが欲しくば、青春学園中等部テニス部にくることだな。」
そう言うと、手塚は踵を返し、すごい勢いで学校に戻っていきました。

「青春学園中等部・・・か。」
手塚の走っていった方向を見つめながら、ポツリとつぶやき
「行ってやるよ、青学テニス部!」と力強く思うのでした。

おしまい



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