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月光が背の高い青年を照らしていた。
ここは土御門と呼ばれる左大臣の屋敷である。
その青年は四方に気を配りながら、警護し続けていた。
青年はある部屋の前でふと足を止めた。
その部屋は『龍神の神子』と呼ばれる少女が休んでいる部屋…
「神子殿、必ずお守りいたします。」
そう青年は心に誓った。


「頼久、頼久はいますか?」
「はい、藤姫様。こちらに控えております。」
「神子様がお呼びですよ。」
青年の胸は高鳴った。青年にとって少女は守るべき主であり、女性でもあった。
青年は藤姫に頭を下げると、少女の部屋へと向かっていった。


「頼久さん、おはようございます。」
少女は青年が入ってくるや否や、うれしそうに笑顔いっぱいで迎えていた。
青年もそれにつられて笑顔になる。
それもつかの間すぐにいつもの顔に戻ると、
「藤姫様に、お呼びだと伺って参りました。」
でも少女は構わず話し出す。
「今日は、どこかに出かけませんか?2人で。」
「神子殿の御命令とあれば、お供します。」
言葉とはうらはらに胸は大きく高鳴っていた。


「すっかり秋ですね。」
少女と青年は双ヶ丘にやって来た。
辺りの木々はどれも紅く燃え上がり、
その木々の間を小動物たちが冬の支度に走り回っている。
そんな丘の上で少女は走り回っていた。
そして青年を見つけると大きく手を振ってくれる。青年も振り返した。
振り返しながら、青年は思っていた。
彼女はここにいて幸せなのだろうか?
こんな私といて楽しいと思ってくれているのだろうか?
少女は自分のあるべき世界に帰れるはずだったのに、
この世界に残って青年と生きていくと決心したのだった。
また鬼の一族のような輩が現われたとしても、
必ず守り抜いてみせる、その心には偽りは無いが、
少女が本当に幸せなのかそれだけが心の片隅で小さな影を落していた。
そんなことを考えていると、急に目の前が暗くなった。
「頼久さん、何してるんですか?楽しくないですか?」
少女は大きな瞳でこちらを見ていた。
その瞳は、何でも見透かされてしまうような感じさえ与えるほどだった。
「いえ…神子殿少しお休みになられては?」
そう言われた少女は、青年の横に座った。


「風が気持ちいいですね。」
「はい。」
「頼久さん…今日一緒に出かけてもらったのは、
頼久さんに渡したい物があるからなの。気に入ってくれるとうれしいんだけど…」
と言って少女は自分のスカートのポケットから小さな袋を取り出した。
「はい、頼久さん。お誕生日おめでとう!
藤姫に合わせ方を教えてもらって、作った匂い袋なんだけど…」
と言って青年にその小さな袋を手渡した。
「お誕生日とはなんですか?神子殿。」
「お誕生日っていうのはね、頼久さんが生まれた日。
で今渡したのが、お祝いの贈り物。」少女はそう言って笑顔で答えた。
「あ、ありがとうございます。初めてのことでどうお答えすればよいか分かりませんが
…とても良い香りがします。大切にさせて頂きます。」
青年は少女から貰った小さな袋をいとおしそうに見つめていた。
「喜んでもらえてよかったです!そうだ頼久さん何かお願い事は無いですか?
私の世界ではケーキという食べ物にローソクを立てて、
その火を消す時にお願い事をするんです。でも今はケーキもローソクも無いから
私が出来ることなら、叶えて上げられるかもしれない。」
そう言って青年の口が開かれるのを待っていた。
青年はその少女の顔を見ながら考えた。
願い事はこの少女と2人で幸せになること。
そんなとこを言っては少女を困らせてしまう。
「頼久さん?」
その声でふと我に戻った青年の口が開かれた。
「あの、このようなことをお願いするのは、差し出がましいことかもしれませんが、
2人きりの時に…お名前で呼ばしていただきたいのです。」
青年は真っ赤になりながら、そう言った。少女はそれを聞くとぱっと笑顔になり
「そんなことでいいんですか?もちろんいいですよ!」と答えた。
青年はいままで見たことの無いような笑顔になり
「ありがとうございます!神子殿。」
「え!?頼久さんまた『神子殿』になってますよ。
今2人きりだから名前でいいのに。」と笑っていた。
青年も笑いながら
「そうでしたね。まだ慣れないようです。」と2人顔を見合わせて笑っていた。


ふいに少女の顔が戻り、青年をじっと見つめていた。
「頼久さんにまだ言わないといけないことがあるの。聞いてくれますか?」
青年は小さくうなずいた。
少女はそれを見て、一呼吸して話し出した。
「大好きなあなたへ。生まれてきてくれて、ありがとう。
こんな大切な日に大切な人と過ごせるなんて、とても幸せです。」
大きな瞳に涙を浮かべながら少女はそう言った。
青年はそんな少女を抱きしめずにはいられなかった。
抱きしめた腕の中で少女の温もりを感じながら青年は言った。
「どうしてあなたは、私が一番欲しかった言葉がわかるのですか?
今のお言葉で疑問も不安も全部無くなってしまいました。…私もあなたが好きです。
こんな幸せな気持ちも初めてです。」
そう言って少女の頬を伝う涙を指で拭うと口づけをした。
少女は驚いた様子で赤くなっていたが、青年の目を見てまた胸に体を預けていた。


少し時間が経ち、周りも夕日で照らされてきていた。
「戻りましょうか?藤姫様が心配なさいますから。」青年は立ち上がった。
「そうですね。戻りましょう。」
少女も立ち上がると、目の前に立っていた青年の腕を掴んだ。
「いいですよね〜!頼久さん。」からかうように青年に話し掛けた。
顔を見ると青年は真っ赤になっている。
「はっはい…こっこうして、かっ帰りましょう。」
そうして2人は夕日に紅く燃えた丘を後にした。


今日も青年は警護のために屋敷を見回っていた。そして、少女の部屋の前まで来て
少女を必ず守る、幸せにするのだと心に誓うのであった。






よりぃ〜!\(≧▽≦)/素敵な小説を頂いてしまって本当に有難う♪頼久さんってば、可愛いぞ〜(笑)
うふふvよりぃの頼久さんへの『愛』が伝わってくるようだわ(*^▽^*)好きだから、こんなに素敵な小説が書けるのね♪
『ねがい』と聞いた時、某歌手の曲がぐるぐると…(笑)また、お時間があったらぜひ書いて〜!!

                                      by.ちょま





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