「詩紋くん 一緒に市に行かない?」
「今日は東寺に市が立つってイノリくんに教えてもらったんだ」
「ごめんね…。今日は藤姫に借りたこの絵巻物をみていたいんだ」
「そっか。邪魔してゴメンね。じゃあ、天真くんと出かけてこようかな」
「うん、それがいいよ。行ってらっしゃい」

絵巻物をみるなんてただの口実。
セフルくんとの事があって、この所閉じこもりがちだった僕を心配して
せっかく誘ってくれたのに今日も断ってしまった。
だめだな。強くなろうと決心したのに、
僕はまだ虐められていた事を引きずったままでいる。
あかねちゃんは元の世界に戻ろうと必死に頑張っているのに。


いつまでも部屋に閉じこもっているので
藤姫や女房さんにまで心配をかけてしまったようだ。
「詩紋殿、よろしいでしょうか?」
「藤姫様が一緒に貝合わせを致しませぬかと」
藤姫ととりとめのない会話をしていると一つの貝に目がとまっていた。
「あかねちゃん こんなの好きかな〜」
「詩紋殿 どうかされましたか?」
「ううん、何でもない。綺麗な絵だなって思って」
「ねえ藤姫。あかねちゃんともこうやって貝合わせとかしてるの?」
「そうですわね。神子様は殊の外その貝の絵が気に入られているご様子ですわ」


日が暮れ自室に戻り、とりとめもなく考え事をしていると
こちらに向かう足音が聞こえてくる。
「詩紋くん、ちょっといい?」
「あかねちゃん。今日はごめんね」
「ううん、こっちこそ。私だって突然誘ったんだし」
「詩紋くんにも用事があるもんね」
「それでね。今日東寺に行ったら桜がもうじき満開になりそうだったんだ」
「よかったら今度お花見に行かない?」

だめだろ。今日あかねちゃんを守られる位強くなろうと決めたばかりなのに。
いつまでも閉じこもってちゃだめだ。

「いいね。じゃあ、お弁当を作ってお花見に行こうか?」
「うん!頼久さんや天真くんも誘ってみんなで行こう」
「あ… うん……。あのね、あかねちゃん」
「できれば 僕、2人で行きたいかな」
「この所、僕あかねちゃんと出かけてなかったでしょ?」
「だめ… かな?」
「うん。じゃあ、2人で行こう。約束」
そう言って笑いながら右手の小指を差し出してくれる。
「指きりげんまん 嘘ついたら針千本飲〜ます。指切った」
一時だけ繋がっていた小指の先から伝わってくるぬくもり。
彼女の優しさまで伝わってくるよう。
「プッ」
「ふふっ…」
子供のするようなたわいのない約束。どちらからともなくつい笑い出してしまう。
「本当だよ、約束だからね。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい。あかねちゃん」


ぱたぱたと音を立てて遠ざかってゆく足音。
そうだ。
僕は一つの決心をして女房さん達の控えている部屋に向かう。
いつか一緒に元の世界に戻ろう。
その為に僕はがんばる。彼女を守る為に……。







フェスタ6での詩紋くんのメッセージを聴かれて創作意欲が湧いたそうです♪
確かにあのメッセージはちょっと大人っぽかったですよね。ドキッとさせられちゃいました!
少しずつ大人になっていく詩紋くんを見守りたい気分です(*^^*)いい青年になるわよ〜、きっとvv
素敵な創作を有難うございました!また素敵な創作が完成したら、ぜひ読ませて下さいませ★

                                      by.ちょま






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