長い笛が鳴る。――今日の練習はこれで終わりだ。
香穂との待ち合わせは1時だから、
家に帰ってシャワーを浴びるくらいの余裕はありそうだ。

部室に戻って、着替えていると、長柄先輩がやってきて、
封筒を手渡してきた。

「これ、火原から」

「火原先輩から?」

「そうだよ。――今朝、うちまで届けにきた。
 練習後に渡してくれって。じゃあ渡したからな!」

火原先輩が俺に何の用なんだろう。
――なんだか、いやな予感がする。
急いで封を切ると、中に入っていた手紙を読んだ。

   土浦へ

     香穂ちゃんは預かった。
     返してほしくば、ここにこい!

     出来れば、水着なんか持ってくるといいと思うよ。

 

ご丁寧に地図まで入ってる。
火原先輩の字に、最後の一文は柚木先輩の字だ。
なんとなく、先輩たちの企みが分かったけど、せっかくだから乗ることにした。
――本当は、二人っきりで過ごしたかったけど。
こんな誕生日も悪くない。

家に戻った俺は、急いでシャワーを浴びて荷物をまとめると、
チャリに乗って海に向かった。

 
* * * * *

海についた俺は、同封された地図を見ながら目的地を探した。

「・・・この地図、火原先輩作かな・・・」

大雑把すぎて、場所が特定できない。
しかもここは海岸だ。目印になるようなものはほとんどない。

「あ、梁〜!!こっちこっち!」

「香穂・・・」

「思ったより早かったね。先輩たちが
 『あのへんで迷子になってるから迎えにいってあげて』
 っていうから、来てみたんだけど・・・。
 やっぱり先輩の別荘、分かりにくいよね〜」

「ちょっと待て。何がどうなってるのか説明してくれ」

「へ?」

きょとんとする香穂に、火原先輩からの手紙を見せた。
それを見た香穂は、笑いながら教えてくれた。

どうやら、先輩たちが俺の誕生日だって知って、
一緒にお祝いしたい、ということになったらしい。
その場所が、なぜ柚木先輩んちの別荘なのかは分からないが――。

「ね、早くいこ!ケーキも焼いたんだから!」

香穂に引っ張られて、俺たちは柚木先輩の別荘に向かった。

 
* * * * *

別荘に着くと、予想どおりの歓迎を受けた。

香穂が作ったケーキと、冬海の手料理(香穂も手伝ったらしい)を食べた。
(後で聞いたら、これが冬海からのプレゼントだったらしい)

志水からは楽譜をもらった。
なんでも、俺と一度合わせてみたいらしいんだが・・・。
これって俺へのプレゼントなのか?――志水へのプレゼントじゃないか。

月森は・・・今日は来ていないので何もなし。
なんでも3日前から両親のところに行っているらしい。
――あいつから、何かもらうなんて、想像できなかったからちょうどよかった。

火原先輩からは、映画のチケット2枚。
――前に香穂が「映画を見たい」と言っていたのを覚えていたみたいだ。
これだって俺へのプレゼントというより、香穂へのプレゼントっぽいよな。

そして。柚木先輩は、プライベートビーチを貸してくれるという。
だから「水着持ってきた方がいい」んだな。
もちろん『香穂と二人っきり』になるように、みんな気を使ってくれた。
――さすが、柚木先輩。裏がありそうでちょっと怖いけど、一番嬉しいプレゼントだ。

 
「じゃあ、香穂。泳ぎに行こうぜ」

「うん!」

大きな海、白い砂浜。――誰もいない、二人だけの空間。

「香穂」

「ん?」

手を繋いで香穂を引き寄せると、耳元で囁いた。

「――他にもプレゼント欲しい」

今日だけでもいい。俺のワガママ、聞いてくれ。

2style.net
 






ぴろりさんとこのつっちーBD創作を、フリーでもないのに強引に頂いてしまいました(笑)
私のつっちーBDイラストを元に創作を書いて下さったので、とても感激しております〜v
イラストを御覧になりたい方は特別に…(^▽^)→
…にしても!!最後の続きが非常に気になるのですが。ちょっといや〜んな想像をしてみたり(オイオイι)
ぴろりさん曰く、柚木君のテリトリー内でいや〜んなことはできないでしょう。その通りですな(笑)
ぴろりさん!本当に有り難うございました〜♪次回の創作も楽しみにしておりますv

                                      by.ちょま