先輩と付き合いはじめてはじめてのクリスマス。
先輩はロマンチストだから、どんなクリスマスが過ごせるのかなって、実は楽しみだった。

「和樹先輩!」

「香穂ちゃん!こっちだよ〜」

待ち合わせ場所に行くともう先輩は来ていた。
この前の誕生日にあげたマフラーを付けて。

「ごめんなさい。お待たせしちゃいました?」

「ううん全然!俺が早く着いちゃっただけだし」

「えへ。私、実は昨日寝付けなくて」

「え〜!俺もだよ!なんかドキドキしちゃってさぁ」

こういう気持ちを共有出来るのがすごく嬉しい。
今までだって二人だけで出掛けたことはあったけど。
でも今日は特別な日なんだもん。
はじめて大事な人と過ごすクリスマス――。
ドキドキして眠れないって気持ち、
和樹先輩ならきっと同じ気持ちでいてくれると思うよ。

「じゃあそろそろいこっか」

そう言って差し出された手に自分の手を重ねると、二人並んで歩き出した。

 
* * * *

「すごく綺麗でしたね・・・」

いつものデートとそれほど違いはなかったんだけど
クリスマスということでイルミネーションを見に行った。
少し肌寒かったけど、繋いでた右手は暖かくて。

幻想的なイルミネーションの下で見る先輩の横顔は
いつもより――かっこよく見える。

「俺、こーゆーの、憧れてたんだよね〜!」

「ふふ。“男のロマン”ですか?」

「そうそう!またひとつ叶ったよ〜ありがとね、香穂ちゃん」

こういう時の先輩の顔は、いつも満面の笑みなの。
この顔を見られるのは私だけの特権――絶対に手放したりしない。
この笑顔のためなら私は何だって出来るような気がする。

「ね、ちょっと寄り道していかない?」

「?いいですけど・・・?」

こんな遅くなった時に先輩が寄り道しようなんて
そんなことを言い出すことなんてなかった。
ただ、クリスマスだからなのかなって。
そう思って先輩についていったの。

 
* * * *

「あ、ここだよ」

「・・・ここって教会?」

「うん、そう。クリスマスに一度来てみたかったんだよね」

私たちは教会の礼拝堂目指して先に進んだ。
私たちが扉の前に着いた頃、中から大勢の人が出て来た。

「もう終わっちゃったんですかね?」

だけど先輩は無言で微笑むだけで何も答えてはくれなかった。
顔がちょっと・・・緊張してる?

「あの、中に入っても大丈夫ですか?」

「ええ。ミサは終了しましたが、それでもよければ構いませんよ」

優しそうな神父さんに許可をもらって
私たちは礼拝堂の中に入った。

「う、わぁ〜すごい――綺麗」

教会なんて入ったことなかったけど厳かな空気
――だけどそれがとても綺麗な空間を作り上げてる。

「―――先輩?どうしたんですか」

「え?どうもしないよ?」

――嘘。さっきから全然反応ないじゃない。
でも静かな空間に身を寄せるつもりだったのかもしれない。
それなら邪魔をしないように・・・と先輩の横顔を眺めることにした。

「ねぇ香穂ちゃん」

いきなり先輩がこっちを見るから反射的に顔を背けてしまった。
そんな私を気にするようでもなく、先輩は先を続けた。

「ちょっと付き合って」

立ち上がると中央の台?のところまで連れていかれる。

「先輩・・・?」

「あのね、今日は香穂ちゃんに伝えたいことがあったんだ」

「伝えたいこと?」

「うん。ここにしたのは証人になってもらおうと思って」

――証人って?
先輩は何を伝えるつもりなのかな。

「香穂ちゃん――俺のそばにずっとずっと居てほしいんだ。
 俺がおじいちゃんになってもね。だから――
 俺が一生君のことを守るから――俺と結婚してください」

いつの間にか先輩の手にあった指輪を見せられても
何がなんだか分からなかった。

「・・・和樹先輩・・・」

もうすでに涙があふれそう――。

「いや、あのさ。結婚っていっても今すぐじゃないし!
 俺がちゃんと香穂ちゃんを養えるようになるまで――」

「先輩!」

溢れてくる涙を止めることもしないで、思わず先輩に抱きついた。

「すごく・・・嬉しいです」

「・・・本当に?この指輪、貰ってくれる?」

「――はい」

「よかったぁ〜!断られたらどうしようかと思ったよ」

「私だって、いつでも先輩の傍に居たいですよ」

「じゃあ香穂ちゃん!左手出して」

先輩が差し出した左手の上に、自分の手を重ねる。

「神に誓って――いつか必ず迎えに行くよ」

そう言うと私の左手薬指に指輪をそっとはめてくれた。

「私も神に誓って――先輩が迎えに来てくれる日を待ってます」

目があった先輩はすごく優しく微笑んでいて。
瞳を閉じると、先輩の優しい唇が降って来た。

 
* * * *

手を繋いで寄り添って帰る途中、先輩に質問してみた。

「なんで教会だったんですか?」

「なんでかな〜今日が大安だからかな」

「え?」

「今日ね、大安なんだよ。大安っていったら結婚式でしょ!
 クリスマスイヴにってのは滅多にないかなと思って」

――やっぱり先輩はロマンチストだな。
そう感じたクリスマスになった。






ぴろりさんより、2004年のクリスマス創作をいただきました☆メリークリスマス♪
火原っち、プロポーズしちゃいましたね(*^^*)火原っちらしい憎い演出vv
まさにロマンチストだ〜☆それに大安を選んだってのも火原っちらしくていいですよね♪
クリスマスにぴったりな創作☆どうも有り難うございました!

                                      by.ちょま





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