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山本さんの研修報告 2001年1月に、川口市消防本部からFDNY・LAFDへ公式訪問された山本さんの研修報告は、月刊消防9月号に掲載されており、私の報告(体験談ですね)に比べるとかなりレベルが上です。細かい部分まで調べてあるのでこちらの方が 参考になると思います。 |
| 〈はじめに〉 このたび川口市職員海外派遣研修制度により、1月11日から25日までの間アメリカ合衆国、ロサンゼルス市消防局及びニューヨーク市消防局へ行って参りました。 今回のこの研 修は、自治体向けに作成された海外研修プランに申し込むか,自らがプランを立てて研修先内容、現地への連絡調整も行う と言う2つのコースがあり、私は後者のコースを選択しました。まず始めに現地消防局への依頼文の作成や送付の手順な ど、初めてのことで多少の戸惑いもありましたが、各係関係機関の方々の協力を得て、先方から受け入れの返答を頂き、1月11 日、最初の訪問先であるニューヨークの地に無事到着することが出来ました。今回の研修の目標として、幾つかの調査項目 を決め各地での利点や特色を調査し、また表面的な見学だけでなく、「他国の消防により深く溶け込み、勤務シフトに入り出 場にも同行し、これらを実地で体験してみたい。」という希望のもと、研修を行いました。現地では、行程の全てが1人での行動となるため不安が有りましたが各訪問先で大変歓迎していただき、すぐに溶け込むことが出来ました。ここで各都市での 研修の概容と調査結果の内容をご紹介いたします 〈ニューヨーク市消防局〉 ここでは、様々な特色を持つ5ヵ所の消防署を訪れることが出来ました。初日は市消防の特殊部隊を管理し支援する「スぺシャルオペレイションコマンド、 (S.O.C)」、消防艇を保有し市の水域を守る「マリンディヴィジョン」危険物や毒物などの災害に立ち向かう、「ハズマット オペレイション」を訪問し、資器材などの説明を受けました。そして2回の緊急出動にも同行することが出来ました。1件目はSOCでの出場で建物外壁の落下危険の排除,2件目はマリンデイブイジョンでの出場で、湾に浮遊物があると通報により出場 (誤報のため途中引き上げ)その後、消防艇で湾内を回り、受持ち区域を案内してもらいました。各訪問先では、担当の方々に大変丁寧に説明をして頂きました。慌ただしさと緊張のなか、アメリカ研修1日目が終了しました。
〈ニューヨーク市消防局RESCUE.CO.1〉 ニューヨークでのメインの研修場所となったのが、ニューヨークに5隊あるレスキュウ隊の1つでマンハッタン地区を受け持つ、現地の子供達が憧れるイーグルワッペンのレスキューカンパニー1での研修となりました。ここは1台の車両と6名の隊員が勤務していました。この署は大変に忙しい署で、私が到着して直ぐに出場を知らせるベルが鳴り、 「GO」の掛け声とともに、周りの状況が掴めないまま、1回目の出場に同行させていただきました。これは途中で取り消しとなりましたが、そのまま帰署せず、昼の食事の買い物がてら管内を回っていただきました。 (食事は基本的に昼、夜自炊)また、防火衣のまま堂々とスーパーで買い物をする姿は、国民性の違いを感じさせられました。この事について、市民からの苦情はないのかと問い掛けたところ、「NOPROBREM,」そのような事で問題になったことは無いとの答えでした。ここでは夜間勤務も体験させていただき、合計6件の出場がありました。(誤報やいたずらによる途中引き上げが5件、ガスの臭気による危険排除が1件、火災等大きな災害は無し)世界の中心都市ニューヨーク、マンハッタンの中心部での緊急走行には圧感させられました。また隊員の方々もフレンドリーで、食事までいただき、大変思いで深い場所となりました。資器材などは本市で使用しているものと、大きな違いはありませんでした。また車庫内にある表により曜日事に点検する資器材が明確にしてありました。庁舎内は古く、車両1台がぎりぎり入るくらいですが、消防の歴史を感じさせる、大変風格のある建物でした。また隊員の方たちは我らこそが全米NO1のRESCUEで有ると自負し気迫が感じられました。6名の隊員との別れを惜しみながら1日が終了しました。帰りは何とレスキュー車でホテルの前まで送っていただきました。 〈ニューヨーク市消防局・EMS・STATION.BATTARION8〉 ニューヨークでの研修最終日はEMS.STATION,BATARION8と呼ばれる(日本の救急業務)場所での研修となりました。朝ホテルを出発し、地図と住所を頼りに指定された場所へ向かいました。不安を感じながら無事にたどり着く事が出来ました。このSTATIONは病院などの医療機関が集まる「メディカルセンター」と呼ばれる場所の1画にあります。あまり人気がなく、寂しい感じのする所でした、ここでは、11時から16時までの間に3件出場し、3名を病院へ搬送しました。最初の予定ではブルックリン地区での夜間勤務が予定されていましたが危険が伴う為予定が変更となり、マンハッタン地区を受け持つSTATIONでの研修となりました、出場してみて感じたことは、要請内容や活動内容は日本とあまり大きな違いはないという事でした。(1件目:地下鉄構内にてホームレス男性、右足の痛み、2件目:22歳女性高熱の為会社でダウン、3件目:独居老人の女性の急病など、)体制は2名乗務の24時間体制で8時間交代の3シフト制となっており、合計車両台数約323台、全体人員約3000人で1車両の1日の平均出場件数は10〜13件と言うことでした。ニューヨークでの滞在は5日間と短い間でしたが、かけがえのない経験と充実した日程を過ごすことが出来ました。ここでの感動を胸に、翌日、次の滞在場所であるロサンゼルスに移動しました。 〈ロサンゼルス市消防局〉 ニューヨークからロサンゼルスまで飛行機で約5時間。時差も3時間程あります。ロサンゼルスでの研修は、日程も長かったので、大変内容の濃いプランを組んでいただきました。消防署の他に、ファイヤーボート、消防ヘリ、消防学校、空港消防署、車両整備場また、市消防局が撮影に協力をしているハリウット映画(アーノルドシュワルッエネッカー主演「COLLATERAL DAMAGE」の撮影現場など(市消防局ではPRのため、このような撮影などに協力をしている)様々な所に案内して頂きまた。 〈FIRE STATION 3〉 メインの研修場所となったのは、市庁舎や行政機関が集まるダウンタウンを受け持つファイヤーステイション3と言う所でした。ここは救急車2台指揮者1台を含む車両台数6台、出動人員14名で運用されていました。ここでも隊員の方々に温かく迎えていただき、当直勤務も体験する事が出来ました。庁舎の清掃や食事作りなども行いました、作り始めてすぐに出場がかかり残念ながら料理の腕前を見せることは出来ませんでした。料理の味は、ニューヨーク同様最高でした。出場件数は救急隊としての出場が2件、消防隊として5件、梯子隊として2件の出場がありました。(自火報の鳴動による出場4件、火災等は無し)ロスの消防では消防隊のほとんどが、゛EMT゛と呼ばれる日本の救命士とほぼ同じ処置が行なえる資格を保持していて、その他にパラメデイックと呼ばれる約50種類もの薬品を使用できる隊員もいました。消防隊もその内容によっては出場し処置を行うことが出来ます私が消防隊で出場した5件のうち3件は、救急関連のものでした、消防、救急一帯となった活動に力強さを感じました。ロスでは日系の消防職員が何人かいるので、現場に出場しても、あまり特別な視線は感ぜず、安心して現場活動を行うことが出来ました。ロスの消防局では初めて配置となつた新人職員の課題として、初出勤の日全員分のアイスクリームを買いに行かされるそうです。なんともユ二―クな洗礼である。ここの署にも1人の新人がいました、ロスでは防火衣、呼吸器、面体、斧、など全てフル装備を60秒で着装すると言うノルマがあり、この新人の隊員が着装し見事クリアしました、交代の時間は朝6時30分と早く、日本のような大交代は無く、代わりの人間がきたら個人で交代するという、なんともアメリカ的な交代でした、私は事前にその事を知らなかったので朝、気づくとメンバーが入れ変わっていました。 〈サンタモ二カ市消防局・STATION3〉 ロスの滞在中予定の入って無い日があつたのでより多くの消防署を訪問したいと言う希望のもと、ロスから車で約40分アポイント無しで、サンタモ二カ市の消防署を訪れました。地図をたよりになんとか消防署にたどり着きました。日本から来た消防職員であることを告げると、歓迎していただき、挨拶もままならないまま、直ぐに出場指令が流れ 「君も乗れ」と言われるがまま、出場に同行しました。ほんの3時間ほどの滞在でしたが、2件の出場がありまた(路上で恋人同士の喧嘩による女性側の負傷、ダンスレッスン中に女性の急病など)2件とも搬送せず現場でバイタルを確認し、本人の希望により辞退となりました。帰署後庁舎内を案内してもらいました。車両はポンプ車が2台、毒物危険物に対応するハズマットと呼ばれる車両が1台の計3台、庁舎内には心地よい音楽が流れていました。変った施設として、新人職員の勉強部屋という場所がありました。また日本の消防職員が来たのは初めてであるとの事でした。サンタモニカ市は職員約100名、内女性は2名署所数5、救急車両は2台しか無く、基本的に、救急要請に消防隊が出場し、(パラメデイックライセンスを持つ隊員が乗車している)状況に応じ救急車が出場するとのことでした。ポンプ車後部には薬品や救急資器材が積載されていました。ここでもまた昼食をいただき、署の制服やTシャツまで貰い、再会を約束し署を後にしました。 1 各市における項目別調査結果の概要
(1)ニューヨーク州・ニューヨーク市消防局 <都市の概要> 東海岸に位置するこの都市はアメリカだけでなく、世界経済の中心都市である。また、あらゆる分野でも世界をリードし最もエキサイティングな街である。ニューヨーク市の面積は約815ku、人口7,831,000人、市域はマンハッタンを中心にブルックリン・クイーンズ・ブロンクス・スタテン島の5区から成り立っている都市である。<組織・制度等>職員数約1万人、220署所で構成され、5つの区の各区に1隊のレスキューを配置している。女性職員は約40名、救急業務にあっては車両323台、人員約3000人で運用されている。わが国と同様、消防は最も身近な公共団体であるニューヨーク市消防では子供の遊び場的な消防、市民に親しまれる消防、開かれた消防組織を目指して自転車のパンク修理など出来る限りのことに対応している。 <救急業務について> 4年前(1996年)から市消防局で救急業務を担当(救急局から業務を移管)している。体制については約3000人で運用しており、うち約2500人がEMT(Emergency Medical Technician)と呼ばれる日本の救命士とほぼ同じ行為が行える資格を持ち、約500人がパラメディックと呼ばれる約50種類の薬品を使用できる資格を持っている。出場は通常2名で行ない、私の研修場所であったEMSステーション.バタリオン8では車両1台の1日の平均出場は約10件、救急車は基本的に有料で約350ドルの料金を取られる。出場にあっては"911(日本の119番)"を受けた時点で状態を1〜8までのランクに区分され、各車両に番号等が知らされる(1〜3:重 4〜6:中 7〜8:軽)。勤務体制は8時間交代で行ない、消防隊と救急隊のシフトは異なったシフトで運用している。また救急隊は日本のように消防隊や救助隊とは同じ署内に待機しておらず、専属のステーションから出向し、街中で待機・出場指令を待つ。資器材の配置も日本の車両とは大きさが異なるため、かなりのゆとりがあり、スクープストレッチャーやバックボードといった車外に持ち出して使用するものは外側から取り出せるよう工夫されていた。また薬品の管理に関しては厳重で車内に鍵つきの収納スペースが有り、その中に薬品ケースがあり、常用制の強い薬品には更にケース内に部分的に鍵が掛かる場所に収納されてる。1番多く使用する薬品は、ATROPINE.次にLIDOCAINEと言うことでした。感染防止用のグローブは本市で使用している物より厚く強度の有るものを使用していた。 <女性職員の職場環境について> ニューヨーク市の女性消防官の人数は職員1万人のうち約40人しかおらず、質疑を行なったところ、その理由として採用試験はすべて男女平等に行なわれており、体力テスト等に合格するのが困難であるとのことであった。また施設の面では、シャワーやトイレ等は男女別々になっていたが、仮眠室はパーテーションで区切られているだけであった。今後、新庁舎建設時には女性に配慮した施設を設置するとの回答があった。私が訪れた署にも女性の梯子隊長が勤務していました屈強な男性職員を従え現場から帰署する姿はとても頼もしく感じると共に、アメリカと日本における、女性の職場進出の差を感じた。 <ズボン式防火衣のメリットと熱中症対策について> 最近では我が国の消防においても"ズボン式の防火衣"に変更する所が多く見られるようになってきた。アメリカではズボン式防火服が主流であり、歴史的にもこの方式が採用されている。日本の様な長靴スタイルはあまり考えられないとの回答でした。使用している隊員にも質問したところ特に問題はなく火傷や受傷事故を第一に考えているとの事であった。また熱中症対策として、どの車両にもペットボトルの水などが積載してある。災害状況の複雑化や時代環境の変化を考慮すると、このような、ズボン式の防火衣は今後必要不可欠なものであると思われる。 <CIS対策> CISとは"Critical Incident Stress"の略であり、あまり聞き慣れない言葉ではあるが、非常事態ストレスと言い、我が国も阪神大震災以降クロ―ズアップされてきている。これは災害現場で凄惨な場面に遭遇したり、自分の子供と同年代の者などが関係するような現場において引き起こされる可能性がある。個人差はあるが引き起こる症状として不眠や鬱(うつ)などの症状があげられる。ニューヨーク市消防局では、対策として職員の中に20人のカウンセラーを置き、CIS以外にもドラッグ中毒やアルコール中毒、家庭問題の悩みなどあらゆる相談に対応している。これを行なう意味として集中力の低下や作業能率の低下、職員の士気の低下を防ぐ効果がある。また、この20人はカウンセラーのライセンスを有していて、アメリカでは通常我々が受けている健康診断のように、ごく当たり前にメンタルヘルス対策を取っている。近年日本でも幼児虐待などの新たな社会問題が増加している社会環境の中、我々職員にもこのような症状が起こりうるということも考え消防職場にも心のケアなどメンタルヘルス対策を視野に入れるということも認識する時代にきたのではないかと思われる。 <装備> 装備面で工夫されている物として、車両内の会話などが、へッドホンマイクにて行なわれている。私も実際着用し出場をしたが、無線指令の内容や隊長からの指示が明瞭に聞くことが出来る、車両の誘導も車両後部のジャックにへッドホンを差込み、ステップ上で誘導をしていた。お互いの声が良く聞き取ることができた。 <その他> ニューヨークでは212ある消防隊の隊員が゛サーティファイドファーストレスポンド゛(CFRD)と言われる、救急処置ができる資格を持っている。この資格はEMTライセンスに比べ、実施できる行為は少ないが、この資格の特徴として除細動器を使用することが出来る。昨年から新規採用者に消防学校入校前に、この訓練を受けさせている。以前は採用後に行っていたとの事でした。ファイヤーエンジンやラダー、レスキューの車両には、除細動器や、ある程度の救急資器材が積載してある。消防隊員は消火、救助、救急、全てが出来て当然という感覚であった。 (2)カリフォル二ア州・ロサンゼルス市消防局 <都市の概要> アメリカ第2の都市と言われるこの都市は、ロサンゼルス市を中心に巨大テーマパーク、映画の都ハリウッド、洗練されたブランドショップなど旅の醍醐味が揃った街で、毎年多くの人々がこの地を訪れる。ロサンゼルス市の面積は約1210ku、人口は約3,485,000人、東はウエストウッドから西はダウンタウンまでと市域は東西に広いがフリーウェイやストリートが整備されているため、交通の便はとても良い。気候は年間の降水日数がわずか25日と非常に少ないがとてもすごしやすい。 <組織・制度等> 職員数約3100人、103署所で構成され、毎日933人の職員が働いている。勤務時間は1日10時間・週56時間の勤務である。女性職員は約300人とニューヨーク市に比べ、かなり多くの女性職員がおり、その内7人のキャプテン(日本の司令の階級にあたる)が勤務している。勤務シフトは24時間勤務の3部制(1973年に2部制から移行)、ニューヨーク市とは違い消防隊、救急隊が同じ署に待機している。レスキュー隊と呼ばれる特別な隊はなく、ポンプ隊やはしご隊が救助器具を積載し、火災・救助・救急全ての業務にかかわり活動している。また、隊員全員がパラメディックまたはEMTといったライセンスを所持している。ポンプ隊も救急隊と同様との考えがうかがえた。日本でも今後増え続ける救助や救急要請に対して、この様な多角的な活動も視野に入れる必要があるのではないかと思われた。 <救急業務について> ロサンゼルス市の救急は1927年に業務を開始し、1970年にはロサンゼルス市全体をカバーできるパラメディックサービスを確立した。1日約2000件の911コールのうち約80%がメディカルコールと言われる救急要請である。業務はニューヨーク市同様2名勤務で行ない、EMTの資格を持つ隊員の乗車する車両が50台、パラメディックの乗車する車両が80台で運用されている。EMTライセンスの取得には4ヶ月間の研修、パラメディックは9ヶ月間の研修を行ない、EMTにあってはロサンゼルス郡、パラメディックにあってはカリフォルニア州のテストを受ける。しかし、この資格は他の州では通用しないという欠点があるが、今後は合衆国全体のナショナルテストとして統一を図る方向にある。また、病院の選定については、エリアによって搬送先が決まっており、16kmの範囲または車で20分の距離以外は基本的に搬送しない。また救急車の後部座席のシートを剥がすとチャイルドシートになる様に工夫されていた。子供を同伴してくる人々のためにこのようなシートが装備されている。このような配慮には感心するものがある。同じアメリカでありながら、他市とはライセンスの取得の期間も違えば、勤務シフトや運営内容も違う。特にロサンゼルス市では消防隊も救急隊と1つになり活動するという形が確立されており、力強さを感じた。 <指令システム> ロサンゼルス市では、指令システムを見学することができ、日本の消防でいう指令センターは"ディスパッチ"と呼ばれている番号は"911"であるが、警察も同様に911であり、同じ庁舎内に警察の指令センターがあり、消防・警察全てのコールがここに通報される。その後、消防のディスパッチに振り分けられる。指令員は4年間の現場経験が必要とされ、全員がパラメディックの資格を所有している。11人体制で8人がコールを担当、3人が無線業務を担当しており、12時間交代のシフトで行なわれる。ここの特徴としては、パラメディックの有資格者がメディカルコールに対応し、救急隊到着までの間、その場で出来る限りの指示を出す。プレトコールと呼ばれるマニュアル本によりすべてマニュアル化されディスパッチファーストエイド的な役割を荷っている。また、人種のるつぼと呼ばれるロサンゼルス市ではスペイン語のオペレーターを常時2名配置、他に通訳会社と契約し24時間60カ国語に対応できる体制を整えている。1日約2000件のコールのうち80%がメディカルコール、14%が火災であり、1日に800〜1000件消防隊、救急隊が出場する。また、イタズラは1%にも満たないとのことであった。イタズラが多い日本と国民性の違いを感じた。メディカルコールに関しては、通報を受けた時点から現場活動が開始されていると言う感覚であった。 <CIS対策> CIS対策については、ニューヨークでも調査を行ったが、両市ともメンタルヘルスに対して、しっかりとした体制が確立されていた。ロサンゼルスでは職員の中に50人のカウンセラーがおり、カウンセリングを受けることが出来る。ニューヨーク同様あらゆる悩みに対応する。アメリカの消防組織では、ほとんどの所で、このような体制を整えている、ロサンゼルスではCISカウンセリングに対して、しっかりとしたマニュアルを作成していた。 <女性職場環境> 試験制度や職務内容も男性と全て同じ扱いである、施設については、トイレ、シャワー以外は男性職員と同じ施設を使用する、両市を見て感じたことは、アメリカでは女性職員に対して待遇が良いと言う考えではなく、男女平等が確立されており、全てにおいて同じラインであると言事が分かつた。我が国も毎年女性職員が増える中、現在の法の範囲内で職務を拡大していく必要性を感じた。 <装備> (1) 防火衣はズボン式を使用している。自分達の防護に対しては万全をきしている。 (2) 空気呼吸器の車載位置はニューヨークではインバケット(シートの背の部分に器具が入っている)タイプであったがロサンゼルスでは州の法律で、 安全上使用が認められないため、車内の数ヶ所に固定してある。(アクシデント時に外れないと危険なため) (3)無線交信、車内通話については、ニューヨーク同様へッドホンマイクを使用している。出場と同時に全員が着用する。 (4)タンク車の水量は500ガロン(約1900リットル)積載されている。 <消防航空体制> ロサンゼルス市の消防航空体制は6機のヘリコプターを所有し、(1機は練習機)毎日7名の隊員が待機している。そのうちの2名はパラメデイックの資格をもっている。機内には、救急資器材や薬品が積載してある。どこのセクションでも救助などを行なうその者が、同時に最善の処置をするという体制が確立されていた。また山火事用に山の中腹にヘリの離発着場があり地上式消火栓が1箇所設置されていた。 <火災調査> 火災の原因調査係は消防トレーニングセンター内にある、日本と異なるところとしては、調査に関して、警察と合同では行なず、消防だけで行なう。また係の者は拳銃と手錠を所持しポリストレーニングも行なっている。これは現場に不審な者や放火犯人などがいた場合に、逮捕することができるためである。また原因の調査に犬を使用していた。(ラブラドールレトリバー)ガソリンや油の臭気を嗅ぎ分けて、原因を追求する。
<その他の共通調査事項> (1) 隊員の生活スぺース(リラックスルーム・仮眠室・シャワー)などは両市ともに大変贅沢な作りとなっていた。また庁舎のセキュリテイが厳重で、昼間 でも必ずシャッターを閉めている。庁舎の外から簡単には中に入れない、ニューヨークでは特に厳重であった。 (2) アメリカの消防では、必ず自分達の消防局や署のワッペンが有る。私が訪問した、いくつかの署にも、大きなボードに様々な国の消防のワッツペン が貼り付けてあった。私も本市救助隊のワッツペンを持参し、交換をすることが出来た。このワッツペンの意味は、隊員の士気の高揚や、連帯感、組 織への誇りを示す重要なものであるとの事でした。 (3) ニューヨークでの消防殉職者の数は、99年に6人昨年は3人の殉職者が出ている。今年に入り2月の時点で、すでに3名の職員が殉職している。 ロサンゼルスでは1886年から現在までで、70名の殉職者が出ている。最近では1888年3月に4名、1998年 にヘリコプタークラッシュで3名の職 員が現場で命を落としている。 (4) アメリカでは、ほとんどの消防局で、毒物や危険物に対して、専用の車両などが配備されている。ニューヨークでは10年程前まで約10着の防毒衣 しか無かったが、ツインタワーの爆破テロ、やオクラホマのビル災害、日本の地下鉄サリン事件以降約300着を配備した。日本のこの事件が世界に 与えた影響の大きさを、あらためて実感させられた。この防毒服はサリンガスにも対応出来る物で、1着約10万円で着装に約10分程かかる。 (5) 空気呼吸器などの保安器具は署内や整備場などに点検の器械や器具があり、メンテナンスなどは自分達で行う。潜水器具に関しては、点検業者 に委託しているとの事でした。 <おわりに> 今回この2週間の研修の中で、多くの人々との出会いや、他国の消防を内面から見ることができ、大変貴重な経験をすることができました。今回の研修では多くの署を訪れる事が出来ましたが、どこの場所でも歓迎していただき、他国の消防職員一人のために、消防艇を出していただいたり、ヘリを飛ばしていただいたりと、素晴らしい予定を組んでいただきました各消防局の担当者、隊員の方々に感謝するとともに、国境を越えた、消防職員の絆を感じる事が出来ました。またアメリカと言う国は出場の同行に対して寛大で、「万一事故が起きてしまったら、」と言う日本的発想も分かるのですが、「せっかく来たのだからより多くの事を体験して有意義な研修にし、また我々の素晴らしい活動を見てくれ」と言う、アメリカ的発想に国としての度量とスケールの大きさを感じました。ニューヨーク、ロサンゼルスも、地域の実情にあった消防体制をしっかりと確立していると感じました。全てアメリカの真似をすれば良いと言う訳ではなく、アメリカの消防の進んでいる部や日本にはない発想など、様々な特色を考慮し、新たな消防行政のヒントとなるような事があれば参考としたい。また今回の研修派遣に対して、こころよく送り出していただいた 所属長をはじめ、分署の皆様、アドバイスをいただいた各係、関係機関の皆様に誌面をお借りして厚く御礼申し上げると共に、この貴重な体験を活かしていきたいと思います。今回の研修で得た事のひとつ、国、組織、人種は違くとも、消防の目的は世界共通、消防に国境はなし。 |
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