眠気で霞む頭の中で、渋谷有利は一人の少女を見た。 教室 ふと有利が目を覚ますと、目の前に少女の顔があった。 「あ、起きた?」 「……。っ!!」 有利はガバッと顔を上げる。 どうやら自分は、机に突っ伏して眠っていたらしい。 「な、なんで桜田さんが……」 「。こう呼んでっていつも言ってるじゃない」 「あ、はい」 有利は思わず返事を返す。 桜田。 有利と同じクラスで、出席番号が有利の一つ前の女の子。 そして、有利の片思いの相手。 「な、なんでさんが……?」 「だってここ、私の教室だし」 明るくは笑う。 ――それもそうか。 納得しそうになって、有利は自分が言いたいのはそこじゃないと気付く。 「じゃなくて!」 「じゃあ、何?」 首を傾げ、そう聞いてくるを見て、ドキリと思わず有利の心臓が音を立てた。 「だ、だから、なんでさんがどうしておれの目の前にいたかって事で……」 「ああ、それね」 有利のその言葉を聞いて、納得したようには頷く。 「可愛かったからw」 「…………は?」 「何て言うの?渋谷君って男の子なのに、なんか可愛いんだよね」 明るくは笑うが、有利は少しショックを受ける。 好きな子に、しかも女の子に、可愛いって言われるなんて。 「てか、そんな事よりも、もうそろそろ帰らないと、先生に注意受けちゃうよ?」 に言われ、有利は時計を見る。 時間は六時前。 確かにここで学校を出とかなければ、先生に見つかった時に注意されてしまう。 「あ、うん」 そこで有利は、変な事に気付く。 「あれ?でもさんは何でここに居るの?」 「え!?」 その有利の言葉に、は少し驚いたような顔をした。が、すぐにその表情は笑顔に変わる。 「ま、いいじゃん、そんな事。とにかくさ、早く学校出よう」 「え、うん」 背中を押され、有利は、と共に歩き出した。 一緒に帰っている。今までずっと夢に見ていた、さんと。 と一緒に帰り道を歩きながら、有利は自分の心臓がすごくドキドキしているのを感じている。 「そういえば、こうやって帰るの初めてだね♪」 「え、あ、うん!」 に言われ、有利はコクコクと頷く。 なんというか、緊張しすぎて上手く話せない。友達といる時はスラスラと出てくる話題が、思いつかない。 「ねぇ、渋谷君」 「…………あ、何?」 必死に話題を考えていた有利は、の言葉で、ハッと我に返った。 「……ねぇ」 「え、何?」 「渋谷君て、私の事嫌いなの?」 「………………はい?」 の言葉に、有利は驚いたような顔になる。 「え、え、何で!?」 「だって、渋谷君たら、ボーっとしてさ。全然楽しくなさそうだし」 それは違うんです。緊張してるからなのです。 とは、言えるはずもなく。 「嫌いなら嫌いでいいよ。ごめんね、一緒に帰るの誘っちゃって」 「え、ちょっと待ってよ」 一体、どういう事なんだろう。話の展開が分からない。 走って行こうとするの腕を掴む。が、振りほどかれた。 「ねえ!」 少し語尾を強めながら、有利は叫ぶように言う。 だが、そんな事で止まってくれるはずもなく。 大体、嫌いってなんだ? ふつふつと有利の中に、そんな感情が出てきた。 おれは別にそんな事一言も言ってないし、勝手にキレてさ……。 「さん!」 もうどうにでもなれ。 「おれ、別にさんの事嫌いじゃないし!ていうか」 が立ち止まる。 「好きなんだけど!」 …………………………。 言ってから、自分の言った事に気付いて、有利はカァッと赤面した。 勢いに任せて、何て事を……。しかも、こんな道の真ん中で。 有利がそう言った後、がゆっくりと振り向いた。 「……本当に?」 もうどうにでもなれっ! 有利はそのの言葉に頷く。 「同じクラスになった時から、ずっと……」 顔から火が出そうとは、この事だろう。顔が熱い。 そのせいか、最後まで言葉が続かなかった。 つかつかと、が有利の前まで来た。 「……さん…………?」 「あのね」 は有利の耳元に唇を近づけた。 「私も、渋谷君の事好きだよ?」 カァっと赤面する有利に、は微笑んだ。 「これから、よろしくね」 「あ、う、うん!」 ――もしかしたら、今日はとてもいい日かもしれない。 有利は人知れず、そう思った。 〜END〜 ・後書き・ 2作目の夢小説です♪ 今回は有利夢という事でしたが、どうでしょう? つたない所もあると思いますが、楽しんでいただけたら幸いです☆ でゎ、次は3作目で☆彡