【秋のいわし雲、茜色の空、高校2年生の放課後。】






放課後、ほうきで床を掃いていた。けしごむの糟、藁半紙の切れ端。
日直の俺は教室掃除をしながら三十分ほど前に職員室に呼ばれたひとの帰りを待っていた。


ガラ



教室の前のほうのドアが開いた音がして顔をあげると、だるそうな表情のユーキくんが入ってきた。
俺が待っていた、今日の、もうひとりの日直。

「あ、おかえり」

「おー」

「なんて言われてたの?」

「…おまえは勉強アレルギーか、って」

眠そうにして、半ばもう目を閉じながら喋っている。日直の掃除やって、と協調性なさすぎなこのひとには言わない。もうひとりの日直が俺でよかったと思うよ。



ユーキくんは担任教師にそんなくだらない嫌味を言われていたらしい、三十分も。日直はふたり揃わないと帰れないから、その間俺はおとなしく待ってたってわけだ。


「担任まじだりー」
あー、とかいって窓際の机に突っ伏し寝の体勢にはいった。また寝る気なんだ。こんなにやる気なきゃそりゃあ言われるよ、授業中はなんかしてるか寝てるか保健室かだもん。
そろそろ単位やばいよ。



「まぁ、もうすこしでクラス替えなんだから、ちゃんと出なよ。」

西日が差し込む教室の窓際。ユーキくんのきれいな茶髪の毛先が光に透けている。


「……」


「……」


クラスがえ、
口にだした途端、なんだか喪失感がした。だまりこむユーキくんもきっと、同じこと考えてる。俺はそれを考えながら、窓の外、遠くを見つめていた。じりじりと太陽が沈む。

いつの間にか、寝ていたはずのユーキくんも、窓の外、黙って沈む太陽を見つめていた。




おわり 

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